ここから本文です。
風景・春
萬鉄五郎 (1885-1927)
1912年
33.3×45.6cm 麻布、油彩
洲之内コレクション
萬鉄五郎は岩手県に生まれました。フォーヴィスムやキュビスムの影響を受け、大正期を代表する画家の一人ですが、広く知られるようになったのは戦後のことです。洲之内徹が田村泰次郎から現代画廊の経営を引き継いで最初に開いたのがその萬鉄五郎展で、1962年に神奈川県立近代美術館が初めての本格的な回顧展を開く前年のことでした。この作品をはじめ、一時は萬の作品を30数点所蔵していた洲之内は、萬の再発見者の一人といってもよいでしょう。
この作品は第1回ヒュウザン会の出品作です。しかし洲之内は萬の絵に美術史的な意義からだけアプローチしたのではありませんでした。「思えば私にとって、萬鉄五郎の魅力は、彼のイメージの孤独の深さだったのである。」と書き、「自分には見えているのに人には見えないもの、言わずにいられないが言っても誰にもわからないこと、選ばれた者の恍惚と不安」と書いた洲之内は、時代の中の画家の深層に触れる目と言葉をもっていたのです。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
こちらのページも読まれています
同じカテゴリから探す