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地方分権の推進、少子・高齢化への対応、産業・雇用対策の促進、地域レベルでの環境保全意欲の高まり、災害等に対する安全対策など、地域の行政需要は増大しており、地方自治体が果たす役割は重要性を増している。
一方、平成20年度税制改正により、法人事業税の一部を分離して国税化(地方法人特別税)し、その収入額を人口及び従業者数を基準として都道府県に譲与する地方法人特別譲与税が創設されたが、地域間格差の是正策としては不十分なものにとどまったと言わざるを得ない。
地方財政の危機的状況をもたらし、地域間の財政力格差を拡大させた最大の原因は、地方交付税の大幅な削減である。地方はこれまで行財政改革に取り組み、歳出削減を行ってきたが、もはや歳出削減の努力だけで住民の暮らしを支えるのは限界に達している。
平成21年度予算については、深刻化する地域間格差の是正と公共サービスの充実に向けて、地方財政圧縮を進める政策の転換を図り、税源の偏在性が小さく税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとともに、地方自治体の安定的な財政運営に必要な財源を確保し地方財政の充実・強化を図ることが重要である。
よって、国においては、地方分権の理念を実現するため、より住民に身近なところで政策や税金の使途決定、住民の意向に沿った自治体運営を行うことができるよう、次の事項について強く要望する。
1 地域の公共サービス水準の確保と地方分権の推進に向けて、さらなる税源移譲と地方交付税機能の強化により、地方財源の充実・強化を図ること。
2 地方自治体間の財政力格差は、地方間の財政調整によることなく、地方交付税の財源保障機能、財政調整機能を強化することにより是正を図ること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月2日
宮城県議会議長 高橋 長偉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 あて
近年、中国産冷凍ギョウザへの毒物混入事件、こんにゃく入りゼリーによる窒息死事故や一連の食品偽装表示事件、ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事故、シュレッダーによる指切断事故など、多くの分野で消費者被害が次々と発生ないし顕在化している。多重債務、クレジット、投資詐欺商法、架空請求、振り込め詐欺などの被害も後を絶たない状況にある。
消費生活センターなど地方自治体の消費生活相談窓口は、消費者にとって身近で頼りになる被害救済手段であり、消費者被害の相談の多くは地方の消費生活センターに寄せられており、その件数は年々増加している。
政府は、消費者・生活者重視への政策転換、消費者行政の一元化及び強化の方針を打ち出し、「消費者庁の設置」などの政策を検討し、地方消費者行政の充実強化の必要性が取り上げられているが、一方で、地方自治体の地方消費者行政予算は年々削減されており、地方の相談窓口は、十分な相談体制がとれない、あっせん率の低下、消費者啓発も十分に行えないなど、多くの問題を抱えている。
真に消費者利益が守られるためには、地方消費者行政の充実強化が不可欠であり、政府の消費者行政推進会議の最終取りまとめにおいても、強い権限を持った消費者庁を創設するとともに、これを実効あらしめるため地方消費者行政を飛躍的に充実させる必要があること、国において相当の財源確保に努めるべきこと等を提言している。
よって、国においては、消費者基本法の理念に即した消費者行政を実現するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 消費者の苦情相談が地方自治体の消費生活相談窓口で適切に助言及びあっせん等により解決されるよう、消費生活センターの設置、業務、及び機能等を法的に位置づけるとともに、消費者被害情報の集約体制を強化し、国と地方のネットワークを構築することなど、必要な法制度の整備をすること。
2 地方消費者行政の体制、人員、及び予算を抜本的に拡充強化するための財政措置を講ずること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月2日
宮城県議会議長 高橋 長偉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
消費者行政推進担当大臣 あて
去る6月14日に発生した平成20年岩手・宮城内陸地震は、マグニチュード7.2、宮城県栗原市と岩手県奥州市で最大震度6強を観測した大地震であり、宮城・岩手両県においては多くの方々の尊い命が奪われ、多数の方々が負傷し、今もなお多くの被災者の方々が今後の生活に不安を抱えながら不自由な避難生活を余儀なくされている。また、両県の中山間地域では大規模な地すべりや土砂崩れが多数発生し、道路や橋梁等の公共土木施設や農林業施設に壊滅的な被害を与え、地域経済も大きな打撃を受けている。
これらの被害に対し、関係機関が総力を結集し一日も早い復旧へ向けて対策を講じているが、道路、橋梁等公共土木施設の被害が甚大であることから、完全復旧には長期化と財政支出の増大が見込まれる。
よって、国においては、被災者の生活再建、被災地の早期復旧、及び新たな災害の発生防止のため、次の事項について特段の措置を講ずるよう強く要望する。
1 平成20年岩手・宮城内陸地震を激甚災害として早期に指定するともに、災害復旧対策に対する財政上の支援措置を講ずること。
2 道路、橋梁等の公共土木施設の早期復旧、がけ崩れ等による河道閉塞に起因する土砂ダム対策、二次災害の予防対策について総合的に支援すること。また、民有林における林地崩壊及び地すべり被害箇所の早期復旧のため直轄工事を含めた支援策を講ずるとともに、国有林地内の崩壊地等について、下流域の安全確保のため早期に復旧対策を講ずること。
3 農林水産業施設、医療施設、文教施設、観光施設、及び被災住宅等の早期復旧のため、財政措置を含めた支援措置を講ずること。
4 地元自治体の災害復旧に要する経費について、特別交付税の算定において十分な措置を行うとともに、災害復旧事業の財源となる地方債の要望額を確保し早期に対応すること。
5 今回の地震発生のメカニズムや活断層の活動特性を解明するための調査研究を推進し、今後の地震観測体制の一層の整備充実に役立てること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月2日
宮城県議会議長 高橋 長偉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣府特命担当大臣(防災)
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣 あて
老人福祉施設等の介護業務の中核となる介護職員の給与は、他の業種より低い水準にあり、その上、二度の介護報酬減額によりさらに低下し、福祉系大学及び専門学校卒業生の他業種への就職傾向が強まり、介護・福祉の現場での職員採用が困難となりつつある。また、離職率も高どまりし、施設の開設に遅れが出るなど、サービス提供体制の確立や事業運営への支障が顕著となっている。加えて、入所者の重度化、医療ニーズの増大等、基準を超える職員配置の取り組みの必要性もあり、人材確保の困難性は事業者努力の限界を超えているのが実情である。この事態が改善のないまま放置されれば、介護保険制度の持続可能性への深刻な影響が懸念されるところである。
また、特別養護老人ホーム、特定施設等での全国一律の設置基準は、重度化する入所者へのサービス低下、介護事故リスク、投資・運営コスト増による採算悪化や利用者負担増を招き、介護現場での自主的改善の取り組みが困難となっている。この基準により、社会福祉法人は、施設の建設や建てかえ等の資金調達さえ困難となり、長期的な経営方針が定まらず、介護サービス事業者は、資本市場からの投資財源調達に支障が出るなど、国民が期待する施設サービスの基盤整備の妨げとなっている。
よって、国においては、平成21年4月の介護報酬改定に当たり、介護現場の雇用改善及び人材確保が図られ、地方分権改革・規制改革に沿った施設整備が促進されるよう、次の事項について強く要望する。
1 他の業種と比較して著しく低い水準にある介護職員等の賃金水準を引き上げ、さらには、介護現場の実態を反映した人員配置基準の改善が行われるよう、介護報酬を適正な水準に引き上げること。
2 老人福祉施設の全国一律の設置基準を早急に廃止し、介護施設の創意工夫による多様で柔軟なサービスの提供が可能となるよう、施設整備での個室・ユニット型や多床室型の選択を社会福祉法人や介護事業者にゆだねること。とりわけ、特別養護老人ホームについては、社会福祉法人に期待される、低所得者の入所にも十分な対応を可能とするとともに、特定施設やグループホームについては、介護事業者による良質かつ効率的な基盤整備が促進されるよう適切な措置を講ずること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月2日
宮城県議会議長 高橋 長偉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて
近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中で、環境資源としての森林が持つ多面的機能に対し強い期待が寄せられているが、その一方で、林業を取り巻く状況は厳しく、森林経営は脆弱化し、その担い手である山村は過疎化、高齢化が進み、崩壊の危機に直面している。
このような中、森林整備を推進していくためには、森林所有者の森林経営意欲を向上させるための施策の推進はもとより、民間による整備が困難な水源林等公益森林の整備に対する公的機関の役割の強化、さらには、森林・林業の担い手である山村の再生に向けた積極的な取り組みが極めて重要となっているが、国有林野事業は行政改革推進法に基づき業務・組織の見直しが進められている状況にある。
今後の林政の展開に当たっては、特に、国有林野事業等において国民の安全・安心な暮らしを守るため重要な役割を果たす水源等公益森林の整備を進め、地域林業及び木材産業の振興を通じて山村の活性化を図る必要がある。
よって、国においては、次の事項を実現されるよう強く要望する。
1 森林吸収源対策を着実に推進するため新税の創設等税制上の措置を含めた安定的な財源を確保し、林業・木材産業の振興施策の推進と森林所有者の負担軽減措置を講ずることにより、森林経営意欲の向上を図ること。
2 担い手対策の拡充、施業の集約化、及び路網整備を推進し効率的かつ安定的な木材の供給体制を確保するとともに、間伐材を含む地域材の需要拡大対策を推進することにより、地域林業及び木材産業の振興を図ること。
3 水源林造成事業を含めた公的森林整備を計画的に推進するための組織体制を確保するとともに、施業放棄地等民間による森林整備が困難な地域における国の関与のもとでの森林整備制度を創設すること。
4 国有林野事業については、国民共有の財産である国有林を適正に管理し、その公益的機能が十分に発揮されるよう、国による管理運営体制を堅持すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月2日
宮城県議会議長 高橋 長偉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
環境大臣 あて
不安定な中東情勢、中国やインド等の経済発展に伴う世界的な需要の拡大、原油先物市場に流入する投機資金などが要因とされる原油価格の高騰は、史上最も高い水準にあり、一向に沈静化の兆しが見えない。急激な燃料価格の上昇は、石油への依存度が高い産業である運輸業や、漁業、花き等の施設園芸において燃料上昇分を価格に転嫁できず収益が悪化し、地域経済にも深刻な影響を与えている。
また、原油価格の高騰の影響によるガソリン価格や灯油価格の高騰と、原材料費や穀物価格の上昇と相まった食料品から日常生活用品に至るまでの価格の上昇は、国民の暮らしを直撃し、日本経済全体の先行きにとって重大な問題となっている。
よって、国においては、国民の立場に立って石油類の安定供給を確保し、石油製品の適正価格を実現するため、次の事項について関係省庁間連携による総合的な対策を早急に講ずるよう強く要望する。
1 原油価格高騰による消費者への影響を緩和するため、石油製品の便乗値上げの監視を強化し、生活必需品である灯油の安定的な供給体制の確保と価格安定対策を講ずること。
2 国内の石油元売会社に対し、石油製品の需要予測を踏まえた適正な在庫水準の維持など安定的な石油製品供給体制の確保を要請するとともに、調査・監視・指導を強化し、消費者に対する情報提供を積極的に行うこと。
3 石油への依存度が高い農林漁業、運輸業等、産業用の油種の安定供給を図り、価格安定対策を講ずること。
4 石油依存度を引き下げるエネルギー政策に転換し、省エネルギーの技術開発と実用化など、省エネルギー化政策を推進すること。
5 原油価格高騰の要因となっている投機資金の流入への対応について、日本が率先して各国と連携し、国際石油市場の安定に向けた国際協調を推進し、原油先物市場の透明性の向上を図ること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月2日
宮城県議会議長 高橋 長偉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
資源エネルギー庁長官 あて
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