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令和5年の消費生活相談件数は90万件台と高止まり、被害・トラブル額の推計は過去最高の約8.8兆円に達しており、高齢者の被害が大きな割合を占め、消費者問題も多様化・高度化している。このような消費者被害に対応するためには、地方公共団体の相談窓口の充実が必要不可欠である。
国による地方の強化策として交付金等が措置されており、中でも地方消費者行政強化交付金(旧地方消費者行政推進交付金)は、定額補助で、消費生活相談員の人件費にも充てることができるため、長年、地方の相談体制を下支えしてきた。しかし、その制度の活用期間の終期到来により、令和6、7年度に多くの地方公共団体で、令和9年度には全ての地方公共団体で終了する。
地方公共団体の自主財源は、十分な程度には達しておらず、そのような状況下で交付金が終了することにより、特に小規模な地方公共団体において、相談窓口の維持や、交付金を活用して実施してきた啓発・消費者教育、消費者被害防止対策等の事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政が後退・縮小するおそれがある。
全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)の刷新及び消費生活相談のデジタル化により生じる費用の負担、消費生活相談員の担い手不足なども、地方消費者行政の安定的実施を妨げる要因となっている。
消費者庁に地方支分部局がないことも相まって、地方公共団体は、国の消費者行政の一端を担っている。特に、PIO-NET登録事務は、国の消費者行政を支える柱であり、その費用は国が負担すべきである。
適格消費者団体は、行政の機能を補完するだけでなく、地方公共団体と協力して啓発・消費者教育等を担っていること、地域の消費者団体は、消費者被害防止のための見守りネットワークの構成員や適格消費者団体の基盤となっていることから、これらの団体の活動も地方消費者行政にとって重要である。
よって、国においては、地方消費者行政の拡充・強化を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 地方消費者行政推進事業に対する地方消費者行政強化交付金の活用期間を相当期間延長するか、同交付金と同様に消費生活相談員の人件費にも充てることができる交付金等の創設を早急に行うこと。また、消費生活相談員の安定的な確保のための措置を講ずること。
2 PIO-NETの刷新及び消費生活相談のデジタル化により地方公共団体に生じる費用を国において措置すること。
3 PIO-NET登録事務など国の事務の性質を有する消費者行政に係る費用について、国の恒常的な財政措置を行うよう、地方財政法第10条の改正を検討すること。
4 地方公共団体が適格消費者団体及び地域の消費者団体に対し継続的な支援を行うことができるよう、地方公共団体に対する財政支援を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月11日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
消費者庁長官 宛て
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