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本県の私立高等学校、中学校、小学校、幼稚園及び特別支援学校(以下「私立学校等」という。)は、建学の精神に基づき、特色ある教育を積極的に展開し、我が国の公教育の発展に大きな役割を果たしている。
人口減少や少子高齢化、デジタルトランスフォーメーション、グローバル化や社会の多様化、地球環境問題などが今後も進行することが予想されており、私立学校等が、こうした時代や社会の変化に対応できる人材を育成するには、そのための教育環境を迅速かつ確実に整備していくことが重要である。特に、学校のICT環境、空調・換気設備等の整備及び耐震化が必要であり、経常費助成の更なる拡充及び国公私立を問わない教育環境の整備に対する支援が急務となっている。
また、併せて教職員の資質向上の取組を進めていくことも必要である。
しかし、こうした教育環境の整備や教職員の資質向上を実現していくためには、より多くの費用が必要となるが、依然として残る教育負担の公私間格差や少子化の進行等の影響もあり、私立学校等の経営は、一層厳しさを増している。
我が国の公教育の将来を考えた場合、公立学校だけでなく私立学校等が併存する教育体制が維持されてこそ、公教育が健全に発展することが可能となり、その結果、誰一人取り残さず、全ての子供たちの可能性を引き出すための教育の実現という時代の要請にも応え得るものとなる。
そのためには、私立学校振興助成法第一条に規定するとおり、教育条件の維持向上と生徒等の経済的負担の軽減を図るとともに、私立学校等の経営の健全性を高めていくことが不可欠である。
よって、国においては、私立学校等の教育の重要性を認識し、教育基本法第八条の「私立学校教育の振興」を名実ともに確立するため、現行の私学助成に係る国庫補助制度を堅持し、保護者の教育費負担を軽減するための「教育費減税」制度を創設するなど、より一層の充実を図るよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月17日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣 宛て
冤罪被害者の人権救済は、人権国家を標榜する我が国において、地域住民の人権を守る義務を有する地方自治体においても重要な課題である。
しかしながら、冤罪被害者を救済するための再審請求手続を定めた法律上の規定(刑事訴訟法第四編「再審」)は、19か条しかなく、再審請求手続をどのように行うかは、裁判所の広範な裁量に委ねられていることから、その審理の適正さが制度的に担保されず、公平性も損なわれている。
再審請求手続の障壁の中でも、特に証拠開示の問題は重要である。過去の多くの冤罪事件では、警察や検察庁といった捜査機関の手元にある証拠が再審段階で明らかになり、冤罪被害者を救済する要因となっている。そのことからも、冤罪被害者を救済するためには、冤罪被害者が捜査機関の手元にある証拠を利用できるように開示させる仕組みが必要である。
現行法では、そうしたことを定めた明文の規定がなく、裁判官や検察官の対応次第で証拠開示の範囲に大きな差が生じており、そうした格差を是正するには、証拠開示のルールを定めた法律の制定が必要不可欠である。
さらに、再審開始決定がなされても、検察官が不服申立てを行う事例が相次いでおり、冤罪被害者の速やかな救済が妨げられている。
よって、国においては、冤罪被害者を救済するために再審法を改正するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月17日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣 宛て
文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」によって、1人1台の端末整備は、「令和の時代における学校のスタンダード」と位置付けられた。
しかし、小中学校においては、全て公費負担で児童生徒に貸与されているのに対し、高等学校段階での対応は、各都道府県の判断に任され、自治体によって格差が生じており、財源を確保できない自治体においては、保護者に重い負担が生じている。
本年8月に開催された全国知事会議で取りまとめられた「令和7年度国の施策並びに予算に関する提案・要望」の中でも、高等学校段階における「デジタル人材育成の大前提となるICT環境の整備について、地域間格差が生じないよう、国による十分な財政支援措置を講じること」が要望項目として取り上げられている。
よって、国においては、学校の新たなICT環境整備方針の策定に当たり、高等学校段階における1人1台端末の整備・更新やネットワーク環境の強化等に関し、必要な財政措置を講ずるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月17日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣 宛て
高齢化が進んでいる現在、高齢者の運転による交通事故が社会問題となっている。65歳以上の高齢運転者による令和5年の交通事故発生件数は4,819件、事故全体に占める高齢運転者の事故割合は15.4%となっており、令和元年の18.1%からは減少しているものの、依然として多発している状況である。
75歳以上及び80歳以上の運転免許保有者数の推移をみると、平成21年では、75歳以上は324万人、80歳以上は119万人であったが、令和5年では、75歳以上は728万人、80歳以上は304万人となっている。比較すると、75歳以上は約2.2倍、80歳以上は約2.6倍となっており、今後ますます高齢運転者が増えていくと想定される。
地方公共団体では、加齢に伴う身体機能や認知機能の低下により運転に不安を感じている高齢運転者や、交通事故を心配する家族等周囲の方々から相談を寄せられており、これらの経緯から、運転免許の自主返納の取組が進められているが、免許返納後の移動の足の確保が大きな課題となっている。また、国では、高齢運転者による交通死亡事故の深刻な社会問題化を背景に、免許返納者への公共交通機関の運賃割引施策を新規で実施する地方公共団体への支援を検討しているが、公共交通の空白地域には課題が残る。
よって、国においては、自動運転移動サービス等の社会実装に向けた環境整備に向け、十分な予算措置とともに、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 自動運転移動サービス等の導入について、過疎地域を包含する地方公共団体に寄り添い、国の相談窓口の開設、専門家の派遣等の伴走型の支援体制を整えること。
2 自動運転技術の開発が様々なメーカーで進められている中で、自動運転システムが主体となって自動車の操縦・制御等を行うレベル4以上の車両の開発促進とともに、遠隔操作システムの導入を含めた行政における利活用の仕組みの検討など、自動運転技術の実用化に向けた環境整備を加速すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年10月17日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済産業大臣
国土交通大臣 宛て
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