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作家一人ひとり、作品一つひとつを掘り起こす。その積み重ねによって、美術史は編まれてきました。美術の潮流の多岐へと光が当てられるにつれ、視界はさらにその先へと拓け、それは時に既成の美術史観の転換をうながすこともあります。
今回の美術館講座では、3人の画家に深く向き合います。いずれも最近新しい視点が加えられた宮城ゆかりの画家です。
小関きみ子(1903-1984)は帝展で作品を発表するだけでなく、カトリック教徒としての交流の中で、何点もの佳作がローマ、バチカンへと渡りました。それら作品の所在が近年明らかにされつつあります。
武村耕靄(1852-1915)は仙台藩士の娘として生まれました。近代日本画黎明期の明治そして大正時代を、画家としてどのように生き抜いたのでしょうか。
また、菅野聖子(1933-1988)は、具体美術協会に参加した作家です。前衛美術家の集団の中で放つ、その特異な存在感は、地道な顕彰の中で紐解かれてきました。
画家に潜心し、確かに足跡を残した彼女たちそれぞれの信念、生き方、そして時代背景を尋ねたとき、思っていたはずの美術とは別の世界が見えて来るかもしれません。(全3回)
[各回とも]午後2時~午後4時(開場は午後1時30分)
宮城県美術館アート・ホール(佐藤忠良記念館地下1階)または講堂(本館1階)※申込者多数の場合※申込者が50名を越えた場合は、会場を講堂に変更します。変更等の連絡は、申込み時に入力のメールアドレス宛、当日の館内掲示、美術館ウェブサイト、twitterにてご案内いたします。
10月22日(土曜日)第1回「―バチカンとイタリアの文書館所蔵文書から読み解く―カトリック画家・小関きみ子」
講師:酒井香織(さかいかおり)
バチカン博物館公認ガイド、美術史研究家/2021年に研究論文「1950年の聖年にバチカンで開催された宣教美術展と日本人画家たち」を発表。ローマを拠点に、小関きみ子ほか長谷川路可、岡山聖虚ら海を渡った日本人画家の作品調査に成果を上げる。
11月26日(土曜日)第2回「武村耕靄画家となった仙台藩士の娘」
講師:田所泰(たどころたい)
実践女子大学香雪記念資料館・学芸員/近代日本に描かれた美人画や主に女性画家の表現、活動、交流、時代背景や制度などを多角的に研究。武村耕靄、上村松園、栗原玉葉などに光を当ててきた。論考多数。
12月10日(土曜日)第3回「仙台→関西→世界的前衛菅野聖子」
講師:和田浩一(わだこういち)
宮城県美術館・研究員/1997年に「菅野聖子展―詩と絵画と音楽と―」(宮城県美術館、芦屋市立美術博物館)を開催。菅野聖子研究の端緒を開く。以後も同作家の特集展示の企画、作品論の発表など。
各回50名程度
無料
事前申し込み必要
宮城県美術館ホームページの申込みフォームから、または往復はがきにてお申込みください。詳細はホームページ「令和4年度美術講座」をご確認ください。
※各回とも定員に余裕がある場合に限り、当日受付もいたします。事前申込みに御協力をお願いします。
お問い合わせ先