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A.「海の日」です。
私たちの国は、四面を海に囲まれた海洋国で、はるか昔から外国からの文化の伝来をはじめ、人の往来や物の輸送、産業、生活などの各分野にわたって、海に深くかかわってきました。最近では、海洋開発やウォーターフロントの整備、またマリンスポーツの普及など海を利用する機会は急速に多様化しています。さらに、地球環境の保全という観点からも、海の役割が重要視され、海洋汚染防止などの必要性が一層高まっています。
7月20日は、昭和16年以来「海の記念日」として、海運、造船、港湾などの海事産業や船員等これらに従事する人々について国民の皆様に理解を深めていただくために、全国各地でいろいろな行事が開催されてきました。
このような海の重要性にかんがみ、近年になって国民の祝日「海の日」を設けようとの国民運動が大いに盛り上がり、その結果、平成7年2月に国民の祝日に関する法律の一部改正が行われ、平成8年から7月20日が国民の祝日「海の日」として制定されました。
なお,現在の「海の日」は、平成15年の祝日法改正(ハッピーマンデー制度)により、7月の第3月曜日となっています。
A.「総トン数」です。
船の大きさを表すもっとも代表的な単位が「トン」です。トンには総トン数、載貨重量トン数、排水量などいくつかがありますが、もともとは15世紀の初め頃、船から税金を取るためにイギリスで定められたといわれています。
総トン数は船の大きさを表すものです。トンという呼称がつきますが、船そのものの重さを表しているわけではなく、船の容積を基に算出したものです。現在の総トン数は、1982年に発効された「船舶トン数に関する国際条約」で定められた算出方法によって計算されています。それ以前は各国で計算の仕方がまちまちで、問題となっていました。
載貨重量トン数は船が積める貨物の総重量を表すものです。どれだけの貨物を積めるかの指標となるので、貨物船の大きさを表す場合によく使われる単位です。
排水量は船が水に浮かんだとき、船体によって押しのけた(排水した)水の総重量を表すもので、船自体の重さを表しています。積荷によって船の総重量がほとんど変化しない、軍艦などの大きさを表すときによく使われる単位です。
A.「太平洋」、「大西洋」、「インド洋」、「北極海」、「南極海」です。
地球の全表面積5億1,063キロ平方メートルの内、およそ70%にあたる部分が海です。この海の存在が、この地球に人類やたくさんの動物や生物、植物などの生命体を育んでいます。地球が美しい青い海でおおわれていることは、スペースシャトルや人工衛星などから撮影された地球の写真が物語っていますし、人類初の宇宙飛行士ガガーリンが、「地球は青かった」といったのも有名な話です。
地球の大部分を占める海ですが、分類上は大洋と付属海に分けられます。大洋は広大で独立していて、海流が流れ、深海部があるものをさします。太平洋、大西洋、インド洋、北極海、南極海を5大洋と呼んでいます。また、太平洋と大西洋を南北で分け、「7つの海」ということもあります。
付属海は独立した海流がなく、大洋に比べて水深も浅く、天候などの海況が付属している大洋の影響を受けることから、付属海と呼ばれています。付属海はさらに地中海と縁海に分けられます。地中海は2つ以上の大陸に囲まれているか、大陸の中へ深く入り込んでいて、狭い海峡で大洋とつながっている海です。ヨーロッパの地中海、北欧のバルト海、ペルシャ湾などがその例です。縁海は大陸の周辺に沿って広がり、半島や列島で囲まれている海です。日本海、ベーリング海、北海などがそれにあたります。
A.「ロープの結び目」からです。
ノットはロープの結び目を表すノット(knot)のことですが、なぜこれが速力の単位になったのかというと、16世紀中頃から、船の速力測定にハンドログという器具がもちいられるようになりました。これはロープにつなげた錘付の木片を海中に流し、一定時間内にどれだけ流れたかを計測するものでした。ロープには約14.4mごとに結び目がつけられ、結び目が1つ繰り出されれば1ノット、3つ繰り出されれば3ノットといっていたのです。この単位が現在でも使われているわけです。1ノットを時速に換算すると1海里(1,852m)となります。現代の船では、速力は人工衛星を利用したシステムで簡単に算出されます。
スピード比較 | 時速(km) |
---|---|
ボーイング747型機 | 910(マッハ約0.75) |
新幹線のぞみ | 270 |
乗用車 | 80 |
ジェットフォイル | 80(約43ノット) |
大型コンテナ船 | 43(約23ノット) |
※スピードはおよその運航(巡航、運転)速力です。
A.「ディーゼル機関」です。
ディーゼル機関は現代のほとんどの貨物船や客船で用いられる代表的な主機関です。シリンダーの内部で高温高圧の圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させ、その力を直接ピストンに伝えて動力を生み出す仕組みです。ディーゼル機関の特長は蒸気タービンに比べて燃料消費が少なく、当初は馬力の点で蒸気タービンに劣っていましたが、性能も向上し、大型船の主機関として十分な出力が得られるようになり、舶用機関の中心的な存在となりました。
ディーゼル機関は、回転数によって高速ディーゼル、中速ディーゼル、低速ディーゼルに分けられます。船の主機としては、回転数が毎分300~1,000回転の中速ディーゼルと、毎分300回転以下の低速ディーゼルがおもに使われます。一般的に推進効率は、スクリュープロペラの場合低回転の方が高く、このため低速ディーゼルの回転数は毎分100回転前後に押さえられ、また、中速ディーゼルの場合は減速ギアにによって回転数を落として使われます。
A.「底びき網」です。
漁をする方法には、古来、釣針を使う方法や、エリ漁と呼ばれる海の浅瀬などに仕掛けを作って魚を追い込む方法、ウケ漁と呼ばれる竹かごなどの容器へ魚を追い込む方法などがありました。また、縄文時代の遺跡から「うき」と「おもり」が出土し、かなり昔から、網で魚をとっていたことが推察されます。
中世から近世にかけて沖合へ乗り出せる船が建造されるようになると、多人数での大規模な網漁業や釣漁業があらわれました。
明治時代に入ると綿網が実用化され、また、エンジンを付けた漁船の利用が始まります。第2次世界大戦後は、石油化学工業の発達にともない、ナイロンなど丈夫な素材によって漁網、ロープがつくられるようになり、また、強化プラスチック製の漁船が普及していきました。これらの技術進歩によって、日本の漁業は飛躍的な成長をとげました。
今日、商業的漁業で用いられている漁法は、釣漁法、網漁法、ポット漁法、その他に分類されます。
A.「コンテナ船」です。
製品の輸出入は、その製品の形態によって自動車専用船、重量物運搬船などの専用船で行なわれています。なかでも精密機器、エレクトロニクス製品など、今日の製品輸送に欠かせない存在がコンテナ船です。
コンテナ船は1960年代に入って登場した貨物船で、従来の荷役方法を一新した船です。従来の貨物船は、船が着岸すると貨物をひとつひとつ船からおろしたり積み込んでいましたが、コンテナ船では、事前にコンテナと呼ぶ箱に貨物を詰め込んでおいて、船が着岸したらいっきにクレーンで積み下ろしをするのです。これによって荷役に必要な時間が、従来の貨物船の1/10に短縮されました。
コンテナ船は貨物船の中では大変スマートに造られ、速力も24ノット(約45km)前後出せるようになっています。また、船には荷役装置がなく、荷役は岸壁にあるガントリークレーンと呼ぶ大型のクレーンで行います。
コンテナ船で使われるコンテナは、国際規格にしたがってつくられた金属製の箱で、長さが20フィートのものと、40フィートの2種類があります。幅と高さはともに約8フィートです。
コンテナのタイプにはいろいろなものがあります。もっとも一般的なのがドライコンテナで、一般雑貨輸送に広く使われます。冷凍した食肉などを運ぶのには冷凍コンテナが使われます。コンテナ内の温度を制御し、冷凍、冷蔵状態で貨物を運べるようになっています。バルクコンテナは米、大豆などのばら貨物を運ぶためのコンテナで、天井から貨物を流し込めるようにハッチがついています。タンクコンテナはジュース、ワインなどの液体貨物の輸送に使われます。そのほか、天井のないオープントップコンテナ、側面と天井がないフラットラックコンテナなどがあり、貨物の特性にあわせて使い分けられています。
A.「混乗船」です。
陸上と同じように、船の上も運航、機関両面でさまざまなコンピュータ技術の応用など、技術革新が急速に進んでいます。その結果、より少ない人数で、効率的な運航が可能となり、日本の外航海運では乗組員数や仕事の分担の見直しなど、将来の日本海運を見据えた研究、取り組みが進められています。その成果として実用化されたのが近代化船です。
かつては大型タンカーなどの貨物船は、1隻あたり30~40名の乗組員が普通でしたが、現在ではわずか11名での運航も実現しています。このように少人数での運航が実現すると、航海士や機関士の仕事の内容も変化していきます。船長、機関長、1等航海士、1等機関士はそのままですが、運航士という職名が登場し、2等、3等の航海士、機関士の仕事を兼務するようになりました。また、甲板部、機関部の部員についても、船舶技士という名称にまとめられ、甲板部、機関部の両方の仕事を受け持つことになりました。
こうした職務の統合で少人数の運航が可能になったのに加えて、さらに船会社は国際競争力を保つため、混乗船の運航を進めています。混乗とは船員費の高い日本人船員の乗り組み数を押さえ、船員費の安い外国人船員を乗り込ませる仕組みで、安定した輸送力を維持していくために欠かせない方法です。
船の種類にもよりますが、船長、機関長、1等航海士、1等機関士が日本人、その他が外国人船員という組み合わせなどが多くみられます。日本の大手外航海運会社は、安定的に外国人船員を雇うため、海外に船員養成機関を設けるなどの体制を敷いています。
A.「神戸~小倉」です。
日本各地の主な港を結ぶ長距離フェリーは海のバイパスとも呼ばれ、陸上の高速道路にあたる役割を果たしている重要な交通機関です。フェリーは客船と貨物船両方の機能を備え、客船としては車ごと運転者や乗船客が乗り降りでき、船内でくつろぎながら目的地へ向かえるので、長距離の移動が楽にできますし、貨物船としてはモーダルシフト(トラックによる陸上輸送の一部を海上輸送や鉄道輸送に切り替えること)の担い手として、その役割の重要性がますますクローズアップされています。
日本での長距離フェリー航路は1968年、神戸~小倉航路でスタートしました。その後、続々と新しい航路が開設され、現在では日本一周が可能なほどの航路網が整備され、約60隻の1万総トンを越える大型船が就航して、人や物資を運ぶ大動脈として活躍しています。
A.「国連海洋法条約」です。
海はどの国の船も自由に航行できる「公海」と、沿岸国の主権がおよぶ「領海」という2つの考え方に分けられます。領海をめぐっては、3海里(約5.6km)や12海里(約22.2km)など、国によってどの範囲までを指すのか統一した決まりがなく、しばしば紛争の原因となりました。1930年、国際連盟は会議を開き、領海の範囲の統一を目指しましたが、調整がつかずに失敗しています。
その後、1958年からの第1次、1960年からの第2次、1973年から1982年までの第3次の国連海洋法会議が続けられました。そして、ようやく1982年12月に採択され、1994年11月に発効したのが「国連海洋法条約」です。
この条約によって決められた内容の主な点は、次のようなものです。
この条約は、「排他的経済水域」という公海でも領海でもない水域を設定し、沿岸国にその中の資源の開発などを認めるかわりに、資源の管理と海洋汚染防止の義務を負わせている点に特徴があります。
また、海洋に関するすべての問題をひとつの条約の中にまとめた点で、世界の新しい海洋秩序の体系化に大きく貢献するものと、評価されています。
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