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障害児支援事業については、障害の早期発見及び療育支援の早期開始の効果が大きいため、近年各種サービスを利用する児童数がふえている。一方で、適切なサービス提供体制の確保と質の向上を図るため、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に当たり、放課後等デイサービス事業所の人員配置について、職員の半数以上が児童指導員または保育士の資格を持つこととされた。
また、今回の報酬改定における改定率は、障害者福祉サービス全体では0.47%増加したが、放課後等デイサービス事業の報酬については、児童発達支援管理責任者加算が基本報酬に組み込まれた上で改定されたため、実質的に引き下げになった。具体的には、前年度の延べ利用者数のうち、国で定める利用者の状態像を勘案した指標に該当する障害児を半分以上受け入れている「区分1」の事業所の報酬は1人が1日利用するごとに220円の減額、「区分1」に該当しない「区分2」の事業所の報酬は1人が1日利用するごとに690円の減額となった。
この報酬単価の引き下げが事業に及ぼす影響について、「障害のある子どもの放課後保障全国連絡会」が、同会に加盟する地域連絡会やホームページを通じて全国の事業所に対して行った緊急アンケート調査によれば、「区分1」の事業所では、年額100万円から149万円の減収、「区分2」の事業所では年額250万円から299万円の減収になると回答した事業所が最も多かった。特に、「区分2」の事業所では、職員の削減や、事業の廃止を強いられるおそれがある。本県では、放課後等デイサービスを提供している186の事業所のうち、「区分2」に該当する事業所が169の事業所と、約91%を占めていることから、本県における放課後等デイサービス事業への影響が懸念される。
さらに、今回の報酬改定により、送迎加算の縮小、就労継続支援の報酬見直しなどもなされており、今後の保健福祉行政に影響が及ぶおそれがある。
よって、国においては、放課後等デイサービスなどの障害児通所支援事業を存続させるため、次回の報酬改定の時期を待つことなく、緊急に次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 放課後等デイサービスを提供している事業所が事業を継続できるよう、各市町村の判定方法や事業所の区分判定状況調査を早急に進め、その実態把握の結果に基づき、正当に運営されている事業所の報酬について、前年度と同じ水準を維持するための緊急の措置を講ずること。
2 送迎加算の縮小、就労継続支援の報酬見直しなど、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定で縮小した分野について、影響を緊急に調査すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月4日
宮城県議会議長 中島 源陽
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に援助や配慮が必要であることを知らせるヘルプマーク及びヘルプカードについては、平成24年10月に配布を開始した東京都を初め、導入を検討または開始している地方自治体がふえている。特に昨年7月、ヘルプマークが日本工業規格として制定されたことにより、ヘルプマーク及びヘルプカードが全国に普及し、認知度が向上することが期待されている。
本県でも、今年度中にヘルプマークを県内全域で無料配布する予定であるほか、ヘルプカードについては、既に県内の一部の市町で配布が行われている。
しかし、ヘルプマーク及びヘルプカードについては、援助や配慮を必要とする方が所持・携帯していることに加えて、周囲の方がヘルプマークやヘルプカードが示す意味を理解している必要があることから、国民への周知をさらに進め、思いやりのある行動の促進につなげていくことが重要となる。また、公共交通機関へのヘルプマークの導入など普及に向けた課題も浮き彫りになってきている。
よって、国においては、心のバリアフリーであるヘルプマーク及びヘルプカードのさらなる普及推進を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 地方自治体が行うヘルプマーク及びヘルプカードの普及や理解の促進に向けた取り組みに対して、財政的な支援を今後も充実させること。
2 ホームページや公共広告などを活用し、国民への情報提供や普及をさらに進め、ヘルプマークやヘルプカードへの理解の促進を図ること。
3 鉄道事業者など地方自治体を越境している公共交通機関では、ヘルプマーク導入の連携が難しい状況にあるため、全国でスムーズな導入が図られるよう国としての指針を示すこと。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月4日
宮城県議会議長 中島 源陽
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣 あて
地方自治体は、子育て支援策の充実と保育人材の確保、高齢化の進行に伴う医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持など、果たすべき役割が拡大する中で、人口減少対策を含む地方版総合戦略の実行やマイナンバー制度への対応、大規模災害を想定した防災・減災事業の実施など、新たな政策課題に直面している。
また、これらの新たなニーズに対応し、細やかな公的サービスを提供するための人材確保が急務となっており、これに見合う地方財政の確立を目指す必要がある。
こうした状況にもかかわらず、「社会保障費の圧縮」や「公的サービスの産業化」など地方財政をターゲットとした歳出削減に向けた議論が加速している。特に、民間委託を前提として地方交付税を算定する「トップランナー方式」は、地方財政全体の安易な縮小につながることが危惧されるだけではなく、客観的かつ中立的であるべき地方交付税制度の根幹を揺るがしかねないものとなっている。
本来、必要な公的サービスを提供するため、財政面でサポートするのが地方財政計画の役割であるにもかかわらず、財政再建目標を達成するためだけに必要不可欠な公的サービスが削減されれば、国民生活と地域経済に疲弊をもたらすおそれがある。
よって、国においては、平成31年度予算及び地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、社会保障予算の充実及び地方財政の確立に向け、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 災害対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財政総額の確保を図ること。
2 子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。
3 地方交付税については、平成27年度の国勢調査を踏まえ、各地方自治体における人口及び産業の規模の差異などを考慮し、地方自治体の行財政運営に支障が生じることがないような算定方法について、検討を行うこと。
4 災害時に住民の命と財産を守るため、地方自治体の庁舎を初めとした公共施設の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業の拡充と十分な実施期間の確保を行うこと。
5 地域間の財源偏在性の是正のため、地方偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めること。同時に、各種税制の廃止、減税を検討する際には、地方自治体の財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保を初め、財政運営に支障が生じることがないよう、対応を図ること。
6 地方交付税の財源補償機能・財政調整機能の強化を図り、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講ずること。
7 地方自治体の基金残高を、地方財政計画や地方交付税に反映させないこと。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月4日
宮城県議会議長 中島 源陽
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
内閣府特命担当大臣(防災)
内閣府特命担当大臣(地方創生) あて
インターネットの普及や高齢化の進展を背景に消費者問題が複雑化・多様化する中、地方消費者行政の充実・強化は、これまで国による地方消費者行政活性化基金・地方消費者行政推進交付金の措置によって一定の前進が図られてきた。
一方、この交付金措置が平成29年度で一区切りを迎えた中、地方公共団体の自主財源の確保や消費生活相談員など専門的な人材の確保、消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)の設置等の課題が残されていることに加え、成年年齢引下げに伴う若年者への消費者教育の充実も求められるなど、新たな消費者問題が絶えず生じている。
こうした中、平成30年度の地方消費者行政に係る交付金の予算が前年度の約7割に減額されたことから、消費生活の相談体制や消費者啓発事業の維持などが危ぶまれている。
消費者庁には地方支分部局がないことも相まって、今後、地方消費者行政の機能強化が進展しない場合、消費者被害に関する情報の収集・分析、法令の厳正な執行、消費者被害防止の広報啓発活動など、国の消費者行政にも支障を来すことが懸念される。
よって、国においては、地方消費者行政の充実・強化を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 地方消費者行政推進交付金の後継交付金である地方消費者行政強化交付金における使途の拡充や活用期間の延長、支出限度額の撤廃など制度の改善を図ること。
2 平成30年度の地方消費者行政に係る交付金の減額が地方公共団体に及ぼす影響を具体的に把握するとともに、平成30年度当初予算で確保できなかった交付金額について、補正予算で措置すること。
3 平成31年度の地方消費者行政に係る交付金を、少なくとも平成29年度までの水準で確保すること。
4 地方公共団体が収集した消費者被害に関する情報や悪質な事業者に対する行政処分は、その地域における消費者のみならず、制度改革等の国の消費者行政にも資するものであることを踏まえ、消費者行政に係る地方公共団体の事務費用に対する国の恒久的な財政措置について検討すること。
右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年7月4日
宮城県議会議長 中島 源陽
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
消費者庁長官 あて
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