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今、日本農業の継続が困難な状況に直面している。一方、昨年夏からの米不足と高騰は続いている。この10年で農業者(基幹的農業従事者)は3割も減少し、東京都に匹敵する面積の農地が失われた。漁業生産量も、20年で3割以上も減少した。日本の農林水産業は高齢者によって支えられており、後継者不足もまた深刻になっている。
令和4年度における日本の食料自給率は、カロリーベースで約38%と主要7か国(G7)の中でも最下位に位置し、異常な水準である。肥料・飼料・種子などの輸入割合を考慮すれば更に食料自給率は大きく下がる。
農業所得に占める政府補助金の割合は、ドイツ約77%、フランス約64%に対し、日本は約30%と半分以下にとどまっている。その一方で農家は「外国産に対抗できる競争力の強化」を迫られ、終わりのない規模拡大及びコストカットも強いられている。
水産業においても、漁業従事者の減少が進む中、海水温の上昇等により水揚げされる魚種が変わり、養殖業も深刻な事態に直面している。
さらに、急激な円安、物流費及び飼料・肥料・資材・燃油等の価格の高騰が、食料供給に深刻な影響を及ぼしており、食料安全保障の確保の面からも、国として価格抑制などの緊急対策を実施し、平時からの食料の安定供給の確保・向上を図ることが必要になっている。
よって、国においては、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 米の安定的な供給が図られるよう生産の拡大、国内外の需要拡大及びスマート農業技術の活用、品種改良等による生産性向上を強力に推進すること。
2 物流費及び飼料・肥料・資材・燃油等の価格の高騰を抑制するなどの緊急対策を継続的に実施すること。
3 食料自給率の向上を国政の基本目標に位置付け、農業、林業及び水産業への支援を抜本的に強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月14日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣 宛て
燃油価格の高騰は、県民生活を圧迫するだけではなく、地域経済に大きな影響を及ぼしている。石油情報センターの調査によれば、本年1月に国による補助金が1リットル5円程度縮小されたことに伴い、県内のレギュラーガソリンの平均小売価格は1リットル当たり185.1円となっており、記録が残る平成16年以降のガソリン価格としては過去最高値を記録している。
特に公共交通機関が乏しい地方においては、1世帯当たりの自動車の保有台数も多く、自動車の役割は、通勤・通学、買い物や通院など生活の足として欠かせない重要な移動手段であり、燃油価格の高騰は、地域住民にとって大きな負担となっている。
また、地域経済を支える中小企業にとっても、燃油価格の高騰の長期化は、物価高騰及び他のエネルギー価格の高騰と併せて、事業経営に深刻な影響を与えている。
国は、これまでエネルギー価格の高騰に対する影響を緩和するための補助金を交付してきたが、これはあくまでも一時的な緩和に過ぎず、国民の負担の軽減を図るためには、恒久的な税制措置が求められている。
よって、国においては、ガソリン税(揮発油税及び地方揮発油税)及び軽油引取税を引き下げ、燃油価格の高騰による国民の負担を軽減するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 ガソリン税及び軽油引取税に当分の間として上乗せされている特例税率は、国民に追加の負担を課すものであるため、早急に廃止すること。
2 ガソリン税に消費税を課税する二重課税を早急に解消すること。
3 ガソリン税及び軽油引取税の引下げに伴う減収分が地方自治体の財政に影響を及ぼさないよう、減収分の補填措置を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月14日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
内閣官房長官 宛て
漁業産出額が全国第4位の宮城県において、遠洋かつお・まぐろ漁業は水産宮城の象徴的な産業となっている。世界の海に展開する日本の遠洋かつお・まぐろ漁船のうち、約半数が宮城県内の漁港を基地として操業しており、県の経済に対する影響は非常に大きい。
しかしながら、近年の燃油価格の高止まり、高齢化に伴う船舶職員不足、魚価安、建造船価の高騰等、様々な課題を抱え漁船漁業の継続が大変厳しい状況にある。
よって、国においては、日本の漁業を守り、国民に安定的な水産物供給を行う観点から、遠洋かつお・まぐろ漁業の国際競争力の強化、適正な資源管理及び経営安定を図り、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 海外大型巻き網漁船の隻数管理、集魚装置(FADs)の規制及びIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)による漁獲物の監視強化を図り、生鮮品及び加工品を含む水産物の適正な流通体制を確立すること。特に太平洋クロマグロについては、管理を強化し、また、クロマグロ及びミナミマグロ以外のまぐろ類についても漁獲証明書の添付を義務付けること。
2 乗組員の確保及び船舶職員の育成への支援に十分な予算を確保すること。
3 外国人資格者の受入れ及び日本人の乗組基準の緩和(日本人ミニマム定員の見直し)を進めること。
4 もうかる漁業創設支援事業を弾力的に運用するとともに、水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業(漁船リース事業)について、助成額の上限を現行の3億円から5億円に引き上げること。
5 漁業経営セーフティーネット構築事業の補填基準価格を現行の「7中5平均」から「9中5平均」に改めること。
6 入漁料の過剰な引上げ等が漁業経営に対して影響を及ぼさないよう、水産無償資金協力等による粘り強い外交交渉を通じ、漁場確保対策を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月14日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
内閣官房長官 宛て
「第5次男女共同参画基本計画」及び「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」では、プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標等を設定しているものの、女性の登用が進んでいる企業とそうでない企業があり、男女共同参画の進捗には差異が見られる現状がある。
令和4年に内閣府が公表した世論調査結果によれば、選択的夫婦別姓制度の導入への賛成が28.9%、夫婦同姓制度の維持が27.0%、夫婦同姓制度を維持した上での旧姓の通称使用の法制化が42.2%となっており、国民の約7割が夫婦同姓制度の維持を望んでいる。
現在、旧姓の通称使用が法律に基づいていないために、民間公益法人の資格や金融機関の口座開設などについて旧姓の通称使用を認められていない事例があり、特に女性が指導的地位に就く場合等女性の登用の妨げとなっている。
よって、国においては、家族の一体感や戸籍制度などを守るとともに、婚姻後の社会生活に支障が生じないよう、様々な意見や社会情勢を踏まえた上で、旧姓の通称使用の法制化を行うことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月14日
宮城県議会議長 髙橋 伸二
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 宛て
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