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この要綱は,県民の意見提出手続(いわゆるパブリックコメント手続)について必要な事項を定め,県の政策形成過程における公正の確保と透明性の向上を図り,もって県民の参画による開かれた県政の推進に資することを目的とする。
1 地方分権型社会においては,地方のことは地方が自らの責任において自主的に決定すべきことから,県民の皆さんの県政に対する理解と信頼を高め,県民の皆さんの県政への参加と協働を進める仕組みと手法が求められております。このため,審議会や公聴会,各種広聴制度など県政に県民の皆さんの意見を反映させる従来のしくみに加え,この度,県の政策形成過程で,県民の皆さんの意見を募集し,結果を公表する「県民の意見提出手続」を導入し,県政運営におけるの公正の確保と透明性の向上を図ることにしたものです。
2 パブリックコメント制度は,県が県の施策に関する基本的な計画等の立案に関する情報を単に提供するのみではなく,県が最終的な意思決定を行う前に具体的な計画等の案を県民の皆さんに公表して意見を募集するとともに,提出のあった意見が具体的な計画等の案に生かせるかを必ず考慮するものです。そして,計画等の案の最終的な意思決定後,採用・不採用にかかわらず,提出のあった意見とそれに対する県の考え方(検討結果)を必ず公表する,一連の手続きをいいます。
3 この制度は,あくまで計画等の案の内容をより良いものにするため,県民の皆さんから意見を募集し,意思決定を行うための参考とするものであり,賛成・反対の各意見の多寡で意思決定の方向を判断する住民投票類似の制度ではありません。(この制度においては,多数意見も少数意見も一意見として扱います。)
この要綱において「県民の意見提出手続」(以下「本手続」という。)とは,県行政に係る基本的な構想,計画及び条例(以下「計画等」という。)を策定し若しくは制定し,又は改定し若しくは改正する過程において,その趣旨,内容その他必要な事項を県民等に公表し,これに関して提出された当該意見等を考慮して計画等を定めるとともに,意見等に対する県の考え方を公表する一連の手続をいう。
2 この要綱において「実施機関」とは,知事,公営企業管理者,教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会,監査委員,公安委員会,警察本部長,地方労働委員会,収用委員会,宮城海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会をいう。
1 「県民等」とは,県内に住所や事業所・事務所を有する個人や法人その他の団体のほか,県内の事業所や学校等に通勤・通学している方など,県内で何らかの社会的・経済的活動を営んでいる個人や法人その他団体も含みます。また,市町村も含みます。
2 実際に本手続を行う実施主体は,実施機関が知事の場合は,本庁課室又は地方機関となります。
実施機関は,次に掲げる計画等の策定若しくは制定又は改定若しくは改正に係る案を対象として,この要綱の定めるところにより本手続を行うものとする。
(1)県の基本的な政策・施策に関する構想及び計画並びに県民生活に大きな影響を及ぼすこととなる県行政の各分野における基本的な構想及び計画
(2)県行政の推進において必要とする基本的方針を定める条例又は県民生活に大きな影響を及ぼすこととなる義務を課し,若しくは権利を制限することを内容とする条例(地方税の賦課徴収並びに分担金,使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)
(3)附属機関又はこれに準ずる機関(以下「附属機関等」という。)の審議によりとりまとめる答申,報告等(当該附属機関等が本手続を行うべきものと決定したものに限る。)
(4)前各号に掲げるもののほか,本手続が必要であると実施機関が認めるもの
2 前項の規定にかかわらず,次の各号のいずれかに該当する場合には,本手続を行わないことができる。
(1)附属機関等が本手続を経て作成した答申,報告等の内容に沿って計画等の策定等をする場合
(2)法令(法律,法律に基づく命令(告示を含む。))及び条例に基づき策定等をする計画等で当該法令等に県民等からの意見の聴取に関する手続が定められている場合
(3)迅速性又は緊急性を要し,本手続を行ういとまがないと認められる場合
(4)県民等の意見を考慮することについて県に裁量の余地がないと認められるとき,本手続を行うことにより個人等の情報の保護若しくは公共の安全に支障が生じると認められるとき,又は計画等の策定等の内容が軽微なものであるときなど,本手続を行うことが明らかに合理性を欠くと認められる場合
(5)本手続以外の方法により,県民等からの意見の聴取が十分行われると認められる場合
1 第1項(1)の「県の基本的な政策・施策に関する構想,計画及び県民生活に大きな影響を及ぼすこととなる県行政の各分野における基本的な構想,計画」とは,県が策定主体となっているもので,県の長期総合計画など将来に向けた県の施策展開の方向性や考え方,行政分野ごとの基本的な事項を定める計画をいい,構想,計画,指針,基本方針,ビジョンなど名称は特に問いません。
2 第1項(2)の「県行政の推進において必要とする基本的事項を定める条例」とは,例えば「情報公開条例」や「行政手続条例」などを示します。
3 第1項(2)の「地方税の賦課徴収並びに分担金,使用料及び手数料の徴収に関するもの」については,地方自治法第74条第1項により直接請求の対象外とされていますので,この趣旨に準じ,この要綱においても対象としていません。
4 第1項(4)では,第1項(1)から(3)に掲げる以外のものでも,実施機関の判断によりこの要綱に定める手続を行うことができることとしています。
5 具体的な案件がこの要綱に定める手続を取るべき対象であるかどうかについては,実施機関がこの要綱の趣旨に照らして判断し,また,その判断についての説明責任を負います。
6 第2項(4)の「個人等の情報の保護若しくは公共の安全に支障が生じると認められるとき」とは,本手続を行うことにより個人又は団体等の情報に関するものであって,公にすることにより,当該個人又は法人その他の団体の権利を害するおそれがある場合や県民生活の安全・安心の確保に支障がある場合を想定しています。
7 第2項(4)の「軽微なものであるとき」とは,例えば法令の定めにより条例を改正する必要が生じ,国で定める基準に従って定める場合などを想定しています。
8 第2項(5)の「県民等からの意見聴取が十分に行われると認められる場合」とは,公聴会の開催若しくは公告及び縦覧等の手続が定められ,又は世論調査やアンケート調査などの実施により,県民等の意見が計画等の策定等に十分反映される場合を想定しています。
実施機関は,計画等の策定等をしようとするときは,あらかじめ計画等の案を公表し,広く県民等から意見を募集するものとする。
2 本手続は,立案段階に応じて複数回実施することを妨げない。
3 実施機関は,計画等の案を公表するときは,次に掲げる事項(以下「関係事項」という。)を併せて公表するものとする。
(1)計画等の案の概要
(2)計画等の案を作成した趣旨,目的及び背景
(3)意見の募集期間,提出方法及び提出先
(4)今後の予定
(5)その他意見の募集に関し必要な事項
1 第2項は,同一案件を複数回実施することも可能としているものです。
2 県民の皆さんが計画等の案の内容を十分理解した上で意見を提出することができるようにするため,計画等の案本体以外に,「案の概要」及び「案を作成した趣旨,目的及び背景」の添付を義務付けております。
実施機関は,計画等の案及び関係事項について,県ホームページに掲載するとともに,県政情報センター(本庁)及び県政情報コーナー(各地方振興事務所(仙台地方振興事務所を除く。以下同じ。)並びに担当課(室)所(公安委員会及び警察本部に係るものは警察本部警察情報センター)に備え置き公表するものとする。ただし,公表する内容が相当量に及ぶ場合は,県ホームページの掲載については,計画等の案の概要,関係事項及び計画等の案の公表方法を掲載することをもって代えることができる。
2 実施機関は,次に掲げるもののうち複数の方法を活用し,計画等の案の概要及び関係事項を公表するなど,県民等への積極的な周知のための広報を併せて行うよう努めるものとする。
(1)「県政だより」等県が発行する広報紙(誌)等への掲載
(2)報道機関への情報提供
(3)公聴会又は説明会の開催
(4)その他実施機関が適当と認めるもの
1 この制度を通じて,より多くの県民の皆さんに県の政策形成過程に参画していただくには,広く県民の皆さんに周知することが重要ですので,第2項に掲げている方法も併せてできるだけ活用するものとします。
2 計画等の案及び関係事項を備え置く県政情報センター・県政情報コーナーの住所等は次のとおりです。(平成30年8月現在)
3 第1項中「公表する内容が相当量に及ぶ場合」とは,図面等の量が膨大で県ホームページに掲載できない場合等を想定しています。
4 第2項第1号の「広報紙(誌)等への掲載」とは,「宮城県政だより」のほか毎月新聞に掲載している「県からのお知らせ」や募集チラシなどを想定しています。
意見の募集期間は,原則として1箇月間以上とするものとし,県民等が計画等の案についての意見を提出するために要する時間等を考慮して実施機関が定めるものとする。
2 意見の提出方法は,郵便,ファクシミリ,電子メールその他実施機関が定める方法とする。
3 意見の提出に際して明記を求める事項は,県民等の氏名又は名称,住所等連絡先その他実施機関が定める事項とする。
4 実施機関は,計画等の案についての意見を提出した県民等の氏名,名称その他当該県民等の属性に関する情報を公表する場合には,当該計画等の案を公表し,意見を募集するときにその旨を明示しなければならない。
1 意見の提出期間における「原則として1箇月以上」というのは,あくまでも目安としての期間であり,意見を募集する計画等の案の内容の重要性や意思決定をするまでのスケジュール等を勘案して,実施機関の判断により適宜定めるものとします。
2 提出方法については,意見の明確な把握のためにも,記録に残せる方法が望ましいため,実施機関が郵便,ファクシミリ,電子メール等の方法から有効なものを選択し,計画等の案を公表する際に明示することとなります。
3 氏名又は名称,住所等連絡先の明記を意見の受付条件としていますが,これは,意見の内容を確認する必要が生じたときに連絡が取れるようにするものです。
4 計画等の案について提出された意見の公表と併せて,その意見を提出した者の氏名等の属性に関する情報を公表することは,計画等の案を公表し,意見を募集する際にあらかじめその旨を明示している場合に限ります。ただし,個人名等を公表するとした場合でも,県民の皆さんから氏名,名称等の公表を希望しない旨申し出があったときは公表しないものとします。
実施機関は,提出された意見を十分に考慮して,計画等(複数回の意見募集を実施する場合は,その中間案)の策定等をするものとする。
2 実施機関は,前項の規定により計画等の策定等をしたときは,提出された意見の概要とこれらに対する実施機関の考え方を公表しなければならない。ただし,意見のうち,単なる賛否のみの表明に係るもの及び公表した計画等の案に関連のないものについては,実施機関の考え方を公表しないことができる。
3 実施機関は,第1項の規定により計画等の案を修正したときは,その修正の内容及び理由等を公表するものとする。
4 実施機関は,提出された意見のうち,公表することにより県民等の権利利益を侵害するおそれがあるものについては,その全部又は一部を公表しないことができるものとする。
5 実施機関は,第2項及び第3項の規定により公表するときは,原則として1箇月間以上行うものとし,当該公表の方法は,計画等の案の公表の方法の例によるものとする。
1 実施機関は,県民の皆さんから提出された意見を十分に考慮して,計画等の案について最終的な意思決定を行うとともに,採用・不採用にかかわらず意見に対する県の考え方や,提出された意見に基づいて修正した場合は,その内容及び理由を最終案と併せて一定期間公表します。この場合の公表の方法は,第5条の方法に準ずるものとします。
なお,意思決定した計画等については,意見提出の有無にかかわらず公表いたします。
2 パブリックコメント制度は,県における情報収集手段の多様化を目的とするものであり,住民投票類似の制度ではないので,単に賛否の意思表示のみを述べた意見には,実施機関の考え方は公表しないことがあります。
また,提出された意見を公にすることにより,個人又は法人その他の団体の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのあるものについては,公表しないことがあります。
3 提出された意見が多数に及ぶ場合には,行政コストや事務の効率の点から考えて,類似している意見を集約するなど適宜整理・工夫して公表いたします。
4 意見を提出されたそれぞれの方に県の考え方を返信することはいたしません。
5 計画等のうち,条例や重要な計画は,議会に上程され,議会の議決をもって最終的に決定されたことになります。このようなことから,議会の議決を経なければならない案件については,議会に提案する案を確定しようとするものです。
実施機関は,本手続を実施したとき又は結果を公表したときは,直ちに,別に定める様式により行政経営推進課に報告するものとする。
2 行政経営推進課は,本手続を行っている又は行った案件の一覧を作成し,県政情報センター及び県政情報コーナーに備え付けるとともに,県ホームページに掲載するものとする。
この要綱に定めるもののほか,本手続に関し必要な事項は,別に定める。
(施行期日)
1 この要綱は,平成15年7月9日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱の施行の際現に立案過程にある計画等のうち,計画等の案を公表し,県民等に意見を既に求めたものについては,この要綱の規定は,適用しない。
附則
1 この要綱は,平成23年4月1日から施行する。
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