東日本大震災宮城の震災対応記録

(職員インタビューによる震災の記憶・経験の伝承)

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復興まちづくり

 復興まちづくりをどう進めていくかは、県にとって大きな課題であった。発災直後の3月には土木部に「復興まちづくり支援チーム」を設置するとともに、都市計画課が中心となって「復興まちづくり計画」の原案を作成し、被災市町に提示した。
 今回の震災は過去に類を見ない規模であったため、現行制度内で対応しきれない事業が多く発生することが想定された。特に、既存制度により国の財源が確保されても地方負担が生じることから、被災市町の財政が破綻する恐れがあった。県は5月以降、国土交通省及び財務省を頻繁に訪問し、制度改正と地方負担の少ない特例措置を講ずるよう要望を続けた。
 6月11日の第9回東日本大震災復興構想会議において、県の総事業費2兆1000億円が公表され、知事の「絵に描いた餅」発言とともに大きな話題となった。復興に係る具体的な事業費が示されたのはこのときが初めてであり、その後の財源確保と制度改正への足掛かりとなった。
 平成23年10月21日、国の第3次補正予算において、地方負担を伴わない東日本大震災復興交付金制度が創設された。また、「防災集団移転促進事業」「被災市街地復興土地区画整理事業」の制度拡充のほか、復興の拠点となる市街地を緊急に整備できるよう、新たに「津波復興拠点整備事業」が創設され、復興のスピードアップが可能となった。
 平成25年2月には、復興基金交付金(津波被災住宅再建支援分)として709億円が県に交付され、これに県の復興基金19億円を加えた728億円を県から各市町に交付し、市町独自の被災者支援が可能となった。
 県は、「災害に強いまちづくり宮城モデルの構築」を掲げ、高台移転、職住分離、多重防御による大津波対策を沿岸防御の観点から進めているが、過去の災害には例のない制度の拡充と財政措置により、防災集団移転促進事業全195地区、被災市街地復興土地区画整理事業全35地区、津波復興拠点整備事業全12地区で住宅等の建築が可能となる等、復興まちづくり事業は令和2年度までの10年間でほぼ完了した。

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