産後のこころの健康
- 赤ちゃんを出産したあとは身体的にも精神的にも不安定になることがあります。また、お母さん自身の生活も、赤ちゃんの誕生によって大きく変わります。産後数ヵ月の間は夜中の授乳などお母さんが疲れやすい時期でもあります。
- この時期の心と体の変化をよく知ってこころの健康を保つことは、お母さん自身にとってだけでなく、赤ちゃんのこころの安定や知恵の発達にとって大切なことです。
お母さん自身がこころの健康を自分でチェックすること、そして妊娠中から夫や家族の理解と協力を得ておくこともとても大切です。
お産のあとにおこりやすいこころやからだの変化
マタニティブルーズ
出産後2~3日から1週間以内に起きるこころの変化を「マタニティブルーズ」と呼びます。情緒不安定になり、涙もろくなったり、不安やイライラ感がつのるなど産後うつ病と似た症状が現れますが、病気ではありません。出産直後のホルモン分泌の変化によって起きる、一時的な気分の変動で、多くは数日から2週間程度で症状は回復しますので、治療は通常必要ありません。
産後うつ病
出産後に起きる代表的なこころの病気が「産後うつ病」です。出産後数週間から起こりやすくなり、多くは産後3~6ヵ月以内に発症します。症状は、「気分が落ち込む」「自分を責めてしまう」「食欲がなくなる」「眠れない」など、一般的なうつ病の症状と共通しています。それ以外に、うつ病により赤ちゃんに対する愛情が抱けなくなる場合もあります。里帰り出産などで、実家から自宅に戻った後に発症するお母さんもいます。
出産後、10~20%程度のお母さんが産後うつ病の症状を感じているといわれています。また、過去にうつ病や双極性障害(躁うつ病)にかかったお母さんは産後に再発するリスクが高いため、必ず主治医へ相談しましょう。
産後うつ病の主な症状
- 気分が落ち込み、意欲がわかない。
- 人づきあいが億劫で人に会うのを避ける。
- 自分の子どもがかわいいと思えない。
- 育児や家事に集中できない。
- 夫(パートナー)が非協力的に思え、いらだちを感じる。
- 自分の外見や身だしなみにかまわなくなる。
- 集中力が続かず、すぐに疲れてしまう。
- 何をしても楽しいと感じられない。
- 良く眠れない。昼寝ができない。
- 食欲がない。
家族や友人による援助としては
- 自分の落ち込んでいる状態や気持ちを理解してもらう
- 家族や周囲の人に赤ちゃんの世話をしてもらう
- 家事を代わってもらう
- 受診や相談先に付き添ってもらう など
かかりつけの医師により治療を受けられますが、精神科医による専門的なうつ病の治療が必要になる場合もあります。
一人で悩まずに、家族や市町村の保健師・助産師、かかりつけ医に相談しましょう。
出産後のこころの健康のためのアドバイス
- 出産直後はゆっくり休んで、体力の回復に心がけましょう。
- 夫や家族とよく話し合い、納得のいく子育てにのぞみましょう。
- 育児をお母さん一人でがんばりすぎず、夫や周囲の人の助けや好意を十分に受けてください。
- 母乳が足りてないのではないかという心配はとても多いのですが、赤ちゃんの体重が順調に増えていれば大丈夫です。
- 育児はマニュアルどおりにはいきません。子どもはみんなちがうのです。赤ちゃんについての心配は、遠慮しないでわかるまで保健師や助産師、医師に説明を受けましょう。
- 産後に自分の気持ちが落ち込んでいると感じたら、まずは夫や家族に話しましょう。それでもまだ気分が落ち着かないときは、かかりつけの医師や保健師、助産師に相談してみましょう。自分の状態を周囲の人に理解してもらうことは、とても大切なことです。
- 先輩ママの話も参考になります。話をしてみましょう。
ささいなことでも心配なことや不安があれば、かかりつけの医師や、お住まいの市町村の保健師・助産師に相談しましょう!
県では、助産師による妊産婦電話相談も実施していますので、お気軽にご相談ください。
(相談日・時間:毎週月・水・金曜日 午後1時から午後7時まで)
Tel:090-1060-2232(通話料が発生します)