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宮城県では,「犯罪のないみやぎ安全・安心まちづくり条例」を平成18年4月から施行しています。
「犯罪のないみやぎ安全・安心まちづくり条例」においては,すべての県民が安心して暮らせるまちの実現のために,安全・安心まちづくりに関する基本計画を定めることと規定されています。(第7条第1項)
この条例の規定に基づき,この度,第312回県議会(平成19年2月定例会)において,「犯罪のないみやぎ安全・安心まちづくり基本計画」が議決を受け,策定されました。
今後は,本計画に基づいて安全・安心まちづくり施策を計画的に推進していくことになります。
(以下基本計画本文)
目次
私たちは,豊かな自然に恵まれた宮城で,日々の営みを互いに支え合う地域社会を築いてきました。都市,農山漁村など多様な環境を有する宮城は,これからの時代に,真に豊かな生活を享受できる可能性を持った地域です。
しかし,県内では,子ども,女性,高齢者を対象とした犯罪の発生や犯罪の国際化,低年齢化などによって,治安に対する県民の不安感が増してきています。
また,情報化,高齢化,都市化などに伴う生活様式の変化を始めとする近年の急激な社会環境の変化により,地域社会における連帯意識や人間関係の希薄化も危ぐされています。
このような中で,県民が真に安心して暮らせるまちづくりの実現のため,行政施策や警察活動のみならず,県民一人一人が,「自らの安全は自らが守る」,「地域の安全は地域が守る」という意識を持ち,基本的人権を尊重しつつ,地域社会が連帯して支え合いながら,犯罪の被害にあわないまちづくりを進めていくことが必要です。
「犯罪のないみやぎ安全・安心まちづくり条例」(以下「条例」という。)は,すべての県民が安心して暮らせるまちの実現を目的として,県民等(県民,事業者及びこれらの者の組織する民間の団体をいう。以下同じ。)が,地域の実情に応じて,地域の課題を解決し,犯罪のない安心して暮らすことのできる安全なまちづくり(以下「安全・安心まちづくり」という。)を県民運動として進めていこうとするものです。
安全・安心まちづくりは,行政,県民,事業者が,それぞれの役割を果たしながら連携,協働して,取り組んでいくものです。
特に,犯罪の被害にあわないようにするという意識を県民自らが持ち,地域の課題解決に主体的に取り組むことで,地域ぐるみで見守り支え合いながら「自分たちのまちは自分たちで守る」という安全・安心まちづくりの意識がはぐくまれてきます。
県民等による様々な自主的活動が相互に連携し,ネットワーク化されていくことにより,安全・安心まちづくりの各種活動が県内各地に広まり,県民が安心して暮らせるまちづくりが進みます。
この基本計画は,条例第7条第1項に規定された基本計画となります。
この計画は,社会情勢や地域の実情に応じて,県民等が自主的に行う安全・安心まちづくりの活動を促進し,県民運動として展開していくための各種施策を体系化して示したものです。
県では,将来の宮城県のあるべき姿や目標を県民と共有し,その実現に向けて県が優先的に取り組むべき施策をまとめた「宮城の将来ビジョン」を策定しました。
この「宮城の将来ビジョン」との整合を図りながら,「犯罪のない安全で安心なみやぎ」の実現に向けた取組を行ってまいります。
基本計画の策定に当たっては,あらかじめ県民からの意見募集や関係機関,団体に対する照会を行って県民等の意見を計画に反映するとともに,安全・安心まちづくり委員会に諮問し,その答申を踏まえて策定しました(条例第7条第3項及び第4項)。
平成19年度から平成23年度までの5年間とします。
社会情勢や犯罪発生状況等に的確に対応し,必要に応じて見直しを行います。
宮城県の刑法犯認知件数は,平成7年に約29,900件であったものが,平成13年に約49,900件とピークを迎えました。
平成17年は約33,000件と前年に比べ約6,800件,率にすると17%減少したものの,1日当たりで見ると,91件発生し,およそ15分に1件の割合で何らかの事件が発生していることになります。
また,刑法犯に係る被害件数を見ると,子ども(20歳未満の者をいう。)が被害にあう割合は,22.5%(全国17.4%)で,女性が被害にあう割合は,36.4%(全国34.4%)と全国平均より高くなっています。
県内では,ひったくりや空き巣などが依然として多発しているほか,子どもが被害にあうなど,県民の身近なところで犯罪が発生し,県民の不安感は増してきています。
次の世代を担う子どもたちは,県民総ぐるみで健やかに育て,守っていかなければなりません。
しかし,最近では,核家族化,少子化など社会の情勢が大きく変化していく中で,児童虐待などの深刻な問題も生じています。
情報化社会が急速に進展する中で,有害な情報や危険な情報に触れるなど,子どもたちを取り巻く環境が悪化してきています。
少年非行件数は減少しているものの,依然として刑法犯検挙人員の約3割強を占めており,犯行動機をみても規範意識の低下が見られます。
検挙された子どもたちの大多数は罪の意識があまりなく,保護者や周りの大人たちもその変化を見過ごすほど「普通」と呼ばれる子どもたちによって,凶悪な事件がひき起こされている実態があります。
我が国の治安の良さは,警察を始めとする関係機関の不断の取組やお互いに支え合い,助け合うといった地域の連帯感に支えられてきました。
ふだんはあまり連帯感が感じられなくても,一たび事件・事故,災害等を経験して地域の人々に支えられたとき,その連帯感の大切さに気付くものです。
すべての県民が安心して暮らせるまちを実現するためには,住民がお互いを認め合う人間関係を基本として,共に力を合わせて地域社会の課題解決に取り組んでいかなければなりません。
特に子どもたちを取り巻く環境が変化していく中では,県民一人一人が子どもたちを見守り,地域ぐるみではぐくむことが大切となっています。
地域社会全体が連携・協働して,安全・安心まちづくりを推進し,すべての県民が安心して暮らせるまちを実現します。
県は安全・安心まちづくりを県民運動として展開し,「自らの安全は自らが守る」,「地域の安全は地域が守る」という自主自立,相互扶助の意識を醸成し,県民が主体となってお互いに支え合う地域社会を築くことが出発点となります。
子ども,女性,高齢者,障害者,外国人等が犯罪の被害を受けることがないよう日常生活の中で声をかけ合い,目配り・気配りし,地域で人と人とのつながりをつくり,お互いが見守り,支え合うような県民等の取組を促進します。
また,子どもが犯罪の被害にあわないように,年齢や発達段階に応じたテーマや教材等を活用し,効果的な安全教育を推進します。
県民一人一人が,相互の基本的人権を尊重しつつ,安全・安心まちづくりを推進することが重要です。
安全・安心まちづくりは,県民等が行う自主的な活動に支えられていますが,特に,犯罪の防止に配慮した環境づくりを行う場合,プライバシーを始めとする個人の権利を侵害しないように人権への配慮に努めながら推進していきます。
犯罪のない安全で安心な暮らしを営むことは,県民共通の願いです。
そのためには,的確な行政の対応はもちろんですが,県民が地域の課題を検討し,自主的・主体的に解決していくことが必要です。
これまでも,町内会,PTA等を中心とした子どもの見守り活動や犬の散歩,ウォーキングを子どもの登下校時に合わせて行うなどの個人レベルでの様々な取組が,県内各地で行われています。
こうした取組を県民運動として展開することが,安全で安心な地域社会の実現にとって重要です。
現在は,生活様式の変化や核家族化,少子化などに伴い,地域で住民同士が支え合う力が低下し,また,親の育児不安や児童虐待,児童の不登校等が社会問題になっています。
かつては,子どもを地域全体で育てるという習慣があり,それには子どもを犯罪から守るという効用もありました。
こうした地域における住民のきずなを強めることによって,子どもたちを見守り,支え合い,犯罪から守る活動を促進します。
女性,高齢者,障害者,外国人その他の特に防犯上の配慮を要する人たちが犯罪に巻き込まれないように,安全情報の伝達方法等を配慮するなど,行政と県民等が連携して地域ぐるみで見守り活動を推進していきます。
子どもたちは,地域の人と人とのつながりの中ではぐくまれてきましたが,家庭や地域で支え合う力が低下し,子どもたちにとって安全な場所であるべき学校や通学路等で被害にあう事件が発生しています。
そこで,学校や家庭,地域が一体となって学校・通学路等の安全点検を行い,危険箇所を改善し,安全な学校,通学路等の整備を推進することにより,子どもたちの安全確保に努めます。
地域における県民等の自主的な活動の促進とともに,犯罪の防止に配慮した環境づくりが重要です。
道路や公園等の整備,住宅・事業所・深夜商業施設などの建築に際しては,計画段階から犯罪の被害にあわないまちづくりの視点を取り入れることが重要です。
県民一人一人が犯罪の被害にあわないために,犯罪の防止に配慮した高照度照明設備,防犯性の高い機器等の導入を促進します。
私たちの住む地域は,人へのあたたかい思いやりのある地域でなければなりません。
特に,観光地や繁華街が,違反広告物,落書き,ゴミの散乱,放置された空き家・空き地等により環境が悪化している状態では訪れた人の印象が悪くなるばかりでなく,青少年の非行を始め各種の犯罪を誘発・助長します。
そこで都市部,都市近郊地域,農山漁村地域といった地域性を尊重しつつ,関係機関,団体等が連携して,犯罪を誘発するような環境を改善し,美しい地域づくりを進めていきます。
安全・安心まちづくりは,行政,県民,事業者がそれぞれの役割を果たしながら連携,協働して取り組むという認識のもとに,推進体制を整備します。
県は,安全・安心まちづくりの施策を総合的に推進するため,知事部局,教育委員会,警察がそれぞれの役割を認識し,地域の実状に応じた活動が行われるよう,推進体制を整備します。
安全・安心まちづくりには,町内会や小学校区又は中学校区単位の地域での住民の参加と協力が不可欠です。スポーツ振興活動,子ども会活動,少年補導活動,健全育成活動,交通安全活動,自主防災活動等を行っているボランティア団体やNPO等の取組が一層促進されるよう,連携・協力していきます。
安全・安心まちづくりにおいて県民に身近な市町村の果たす役割が大きいことから,市町村の行う安全・安心まちづくりに係る施策に関し,助言その他の支援を行うとともに,市町村と県のパートナーシップによる連携の強化を図り,総合的かつ効果的な施策の推進に努めます。
また,安全・安心まちづくりに関する国との情報交換を推進するとともに,他の都道府県の取組事例を紹介するなど広域的な連携,情報の交換を図ります。
県民等が犯罪の被害にあわないよう,地域の犯罪発生状況等の地域安全情報を提供します。
特に,特殊・特異な手口による犯罪,特定の業種等を対象とした犯罪,広域的に発生が急増している犯罪,逆に,地域性の高い犯罪などの情報を,関係機関・団体を含め広く県民に公表します。
このことによって,県民が自ら有効な防犯対策を講ずることを支援するとともに「自らの安全は自らが守る」,「地域の安全は地域が守る」という防犯意識の醸成を図ります。
県民等の自主的活動を支える人材を育成するため安全・安心まちづくりについて専門的知識を有する警察官OB,防犯設備士等を地域や団体に派遣します。
住民の社会参加活動を促進し,地域の諸問題を地域で解決する県民等の自主的活動への参加を促進します。
防犯協会,社会福祉協議会,子ども会,女性団体及び老人クラブ並びにスポーツ振興,少年補導,青少年健全育成,交通安全,自主防災等の様々な活動を行っている団体並びに地域の民生・児童委員,保護司等の活動事例を紹介することにより活動ノウハウを普及させることで,県民,事業者等の地域での社会参加活動を促進する。
県民等が,それぞれの地域で抱えている問題の解決方法を検討し,警察や関係機関と連携・協力して地域の課題を解決していけるように努める。
地域で取り組んでいる県民等の自主的活動や自主防災活動のほか,交通安全,青少年健全育成活動等様々な活動を行っている団体のネットワーク化を促進します。
警察署連絡所,公民館,コミュニティセンター等をネットワークの拠点として活用し,地域安全情報を共有することで,地域課題解決の好事例や留意事項,行政の支援等についての情報伝達が円滑になり,自主的活動が活性化されます。
防犯協会,社会福祉協議会,子ども会,女性団体及び老人クラブ並びにスポーツ振興,少年補導,青少年健全育成,交通安全,自主防災等の様々な活動を行っている団体が連携して,地域のネットワークを作る。
安全・安心まちづくりに関する自主的活動は,現在,多くの地域で県民等を主体として進められています。
さらに,県民,事業者の幅広い参加を得て,地域社会全体の取組へと発展させていくために,県民等の意識と理解の向上を図り,安全・安心まちづくりを推進する気運を県内に波及させていかなければなりません。
学校,家庭,警察,地域住民,ボランティア等の連携の下に,登下校時のほか放課後等の子どもの見守り活動,通学路等の地域安全マップの作成,犯罪被害防止教室の開催等の取組が行われるよう支援します。
校内外の巡回・相談に従事する学校等の安全活動ボランティア(地域学校安全指導員,学校安全ボランティア,スクールサポーター等)による効果的な子どもたちの見守り体制の整備を促進します。
母親クラブ,老人クラブなどによる地域での子どもの見守り活動やファミリー・サポート・センター,シルバー人材センターなどによる子どもの送迎等の取組を支援する。
安全で安心な通学路や遊び場を確保するため,子どもたちの緊急避難先として指定されている「子ども110番の家」等を広める。
子どもの年齢や発達段階に応じた教材を使用して犯罪の被害にあわないための効果的な安全教育を推進します。また,児童虐待や少年非行防止等の各種相談窓口で保護者に対する情報提供等の支援を行い,家庭での安全教育の充実を図るとともに,地域での子どもの立ち直り支援を推進します。
家庭,学校,地域が協力して子どもに規範を示し,子どもの健全育成に努めることが重要であり,その気運を醸成する。
女性団体,老人クラブ等の関係団体や事業者等と協力し,女性,高齢者,障害者,外国人等に対して緊急時の通報先,身近な安全対策等に関する講習・情報提供を行います。
また,各種相談窓口の充実を図ることにより,女性,高齢者,障害者,外国人等が安全に安心して生活できる環境を整えます。
学校,家庭,警察,県民,ボランティア等が連携して学校や通学路等の安全点検を実施します。
防犯灯等を整備し見通しの良い植栽等の安全確保に配慮した環境整備を進め,危険箇所の解消を図ります。
「私たちの学校や地域では事件は起こるまい」などと楽観せず,「事件はいつ,どこでも起こりうるのだ」という意識を持って,地域の実情を踏まえた学校等の施設の安全対策や点検・改善のマニュアルの作成を進める。
行政や県民がそれぞれの役割を担って,地域の安全を確認し,防犯灯の設置,見通しの良い植栽等の犯罪の防止に配慮した道路,公園等の整備を進めます。
自動車・自転車の盗難を防止するため,盗難防止対策を推進します。
「防犯性能の高い建物部品」(錠,ドア,窓,シャッター等)の防犯性能に係る情報を消費者に提供するため住宅の設備機器,建材・住宅設備事業者等に対する広報啓発を推進します。
「防犯優良マンション認定制度」を導入し,建物や敷地まで含めた全体の防犯性能を考慮した共同住宅等,犯罪の防止に配慮した安全な住宅の普及を推進します。
県民や関係機関・団体等に対する犯罪の発生状況・手口等に関する情報提供,ガラス破壊実験や実践的安全教室,住まいの安全点検を通じて,CPマークの付いた防犯性能の高い建物部品の普及に努める。
(社)宮城県防犯協会連合会等が進めている防犯優良マンション認定制度の導入を促進するなど,犯罪の防止に配慮した安全な住宅の普及を図る。
防犯機器等の設置促進等による犯罪の防止に配慮した安全な深夜商業施設等の普及を推進します。
深夜小売業施設(深夜商業施設等のうちコンビニエンスストア等の小売業施設)を地域安全情報の発信拠点や県民等の自主的活動における立ち寄り場所として活用します。また,子どもや女性,高齢者等の緊急避難場所や緊急通報支援等の拠点としても活用します。
深夜商業施設等の設置者に対し,防犯機器等の適正な設置と操作要領の確認を行い,防犯機器等の適正な運用に努めるよう協力を要請する。
深夜小売業施設の設置者に対し,地域安全情報を提供して地域の情報発信拠点や県民の緊急避難場所としての役割を担うこと,また,緊急通報支援等について協力を要請する。
違反広告物,落書き,ゴミの散乱,放置された空き店舗,街路の暗がり等が訪れた人に無秩序感・不安感を感じさせます。
そこで県民,ボランティア,関係事業者等と行政機関が連携し,地域ぐるみで違反広告物の除却,落書きの除去,街路の清掃等を行うなどの環境浄化活動と空き店舗の有効活用を促進します。
県民,ボランティア,関係事業者等と行政機関が連携し,違反広告物の除却,落書きの除去,街路の清掃等の環境浄化活動を行い,違反広告物,落書き等の迷惑行為を許さない環境づくりを地域ぐるみで推進する。
外国人を含む観光旅行者へ地域安全情報を提供するなど,それぞれの地域の特性に応じ,観光資源や文化を活かした魅力ある安全な観光地づくりに取り組み,安心して宮城県を訪れることができる環境を整備します。
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