メルマガ・みやぎ 応援職員の声No.7
1 応援職員の声・・・企業復興支援室
県は、震災からの復興を進めるため、全国の自治体からたくさんの応援職員を派遣していただいています。ピーク時には約1,000人、現在も約480人の応援職員が県内各地で事業に取り組んでいます。
このコーナーでは、震災復興業務に携わっている応援職員の方々にインタビューを行い、復興の進捗(ちょく)や宮城の生活で新鮮に感じたエピソードを通し、「宮城の今」をお伝えします。
今回は、高知県から派遣され、経済商工観光部 企業復興支援室配属の岡崎昭子さん(主任主査)にお話を伺いました。
- 編集部
派遣の時期、任期を教えてください。
- 岡崎さん
派遣期間は、当初、昨年の4月から今年の3月までの1年間の予定で着任しましたが、今年度、新たに1年間延長されました。
- 編集部
派遣職員に応募したきっかけを教えてください。
- 岡崎さん
私は、震災直後から、四国ツーリズム創造機構(東北観光推進機構の四国版)で従事していました。震災を機に四国でも海外からの旅行客が激減して、必死で立て直す中で、東日本大震災がもたらした被害の大きさを改めて知ることとなりました。これは危機だと思い、東北だけでなく日本全体の危機であるということを実感しました。
この体験が、東北復興に寄与したいという気持ちの発端になったのだと思います。
- 編集部
家族の方や、周りの人たちの反応はどうでしたか?
- 岡崎さん
家族には事後報告で、家族、友達、職場の仲間、ともに、私が貴重な経験を得られるだろうと前向きに喜んでくれています。
- 編集部
現在の部署である経済商工観光部 企業復興支援室では、どのような仕事をしていますか。
- 岡崎さん
東日本大震災により甚大な被害を受けた地域の、商業機能の復旧促進やにぎわい創出のために、中小企業等により構成されたグループの復興事業計画を支援しています。
補助金を受給して事業完了までの復興計画を長期間にわたってサポートし、被災が大きかった沿岸部などに出向いて随時、相談、支援をしています。
グループ補助金に関しては、これまでに4,200を超える事業者に交付が決定され、9割程度が事業を完了しています。
- 編集部
震災から8年目を迎えていますが、復興の進捗(ちょく)状況についての印象はどうですか。
- 岡崎さん
津波浸水地域の事業者を訪問すると、周辺での区画整理や道路工事が進んでいる様子を目にします。三陸自動車道も、一部を除きほぼ開通し、気仙沼への移動時間もずいぶん短縮されました。
国が定める復興期間の終了が迫る中、まだ復興途上にある部分については、さらに意欲的に取り組む必要があるとはいえ、近年の地震や豪雨災害において、宮城県は東日本大震災の経験を生かして被災地を支援しており、支援を受ける側から与える側へと、力強く立ち直っているという印象です。
- 編集部
宮城での生活はどうですか。
- 岡崎さん
今までずっと四国から離れたことはなく、東北には観光でも来たことがありませんでした。昨年、派遣で着任したのが初めてですが不安はありませんでした。
現在は、仙台市内の県職員寮に住んでいます。休みの日は、震災遺構を見に行ったり、観光地を巡ったりもしています。先日は気仙沼の徳仙丈山にツツジを見に行きました。ちょうど見頃で大変きれいでした。
今住んでいる仙台市は、都市機能と緑が調和する美しい街だと思います。前の職場の同僚に勧められ、空いた時間があれば散歩しています。伊坂幸太郎さんの小説と重ね合わせながら街歩きをすると楽しいです。
東北の冬の寒さは厳しく、慣れていないので大変ですが、窓に断熱シートを貼ったりいろいろ工夫してしのいでいます。高知では雪が珍しいので、見ることができてうれしいです。
仕事でよく訪問する沿岸部は、漁師町でカツオ漁も盛んなので、高知県と通じるところもあり親近感が湧きます。事業者の方々と気さくにお話ができてとても楽しいです。
- 編集部
派遣元の自治体の紹介をお願いします。
- 岡崎さん
高知は、広大な太平洋に面し、県土の8割以上を覆う森林の合間を全国屈指の清流が流れています。
豊かな自然と温暖な気候が、地元ならではのおいしい食べ物やお酒を育んでくれますし、坂本龍馬ゆかりの地や現存12天守のひとつである高知城など歴史探索もできます。
私が宮城県に来て、南国にはない魅力を発見して楽しんでいるように、宮城県の皆さんにもぜひ高知の良さに触れていただきたいです。
※参考よさこいネット(外部サイトへリンク)
- 編集部
今後発生するであろう南海トラフ地震に対して、今回の派遣の経験をどう生かしたいですか。
- 岡崎さん
グループ補助金は、熊本地震や西日本豪雨災害からの復興にも活用された制度ですし、南海トラフ地震にも適用されるようであれば、ここで学んだノウハウを直結させることができると思います。
完全に災害を回避することはできないと思うのでいかに減災するかを考えていく必要があると思います。避難塔、堤防や道路といったハード面の整備だけではなく、県民の避難に関する意識や知識を深めるソフト面の施策も重要であることを宮城県の震災遺構や体験談を通して教えてもらいました。
震災を経験した宮城県の皆さんとのつながりを今後とも大切にしながら、取り組みを進めていきたいと思っています。
- 編集部
最後に、今後の目標を教えてください。
- 岡崎さん
より多くの事業者さんの事業を完了できるように今後もサポートしていきたいと思っています。皆さん被災された状況が違いますし、どのように復興していきたいかなどもそれぞれ個々に違いがありますので、残された期間で、できるだけ相談に応じて希望に合うように手続きを進めていきたいと思います。
編集部から一言
爽やかで優しい笑顔がチャーミングな岡崎さん。
初めての東北の地だということでしたが、不安や迷いはなく、復興応援職員として1年間任期を全うした自信と、これからまた1年間務める使命感が感じられ、優しさの中に秘めた芯の強さが伝わってきました。
宮城県のことを理解しよう、被災者に寄り添っていこうとする気持ちと同時に、岡崎さんのふるさとである高知県への郷土を愛する思いも伝わってきて、すてきな方だなぁと感じました。