メルマガ・みやぎ 応援職員の声No.6
1 応援職員の声・・・気仙沼県税事務所
1 応援職員の声・・・気仙沼県税事務所
県は、震災からの復興を進めるため、全国の自治体からたくさんの応援職員を派遣いただいています。ピーク時には約1,000人、現在も約610人の応援職員が県内各地で事業に取り組んでいます。
このコーナーでは、震災復興業務に携わっている応援職員の方々にインタビューを行い、復興の進捗(ちょく)や宮城の生活で新鮮に感じたエピソードを通し、「宮城の今」をお伝えします。
今回は、沖縄県から派遣され、気仙沼県税事務所課税班で災害復旧に伴う不動産の家屋評価に携わる大村美枝さん(主任主査)にお話を聞きました。
- 編集部
派遣の時期、業務内容を教えてください。
- 大村さん
派遣期間は、去年の4月から今年の3月までの1年間の予定です。
担当業務は、被災家屋を再建した新増築家屋を中心に、固定資産としての現地調査および不動産の家屋評価を行っています。都道府県なら不動産取得税、市町村なら固定資産税を課税するための課税標準額の決定に当たり、家屋を評価するという全自治体共通の業務ですが、気仙沼は復興に伴い、新築家屋が増えましたので、震災前に比べて評価件数が約5倍に急増しました。再建のピークは過ぎたとのことですが、管内4カ所の土地区画整理が途中ということもあり、当面の間は相当数の家屋評価が見込まれています。
評価の対象としては、世界三大漁場の一つである三陸ならではの、水産物の加工場や冷蔵・冷凍庫専用の建物が多いことが特徴です。
- 編集部
派遣職員に応募したきっかけを教えてください。
- 大村さん
沖縄で看護師をしている妹がDMAT(災害派遣医療チーム)に登録しており、東日本大震災直後に招集がかかり、救護活動支援の待機要員として福岡へ向かいました。妹から「医療従事者として自分ができることをやってくる」と言われ、私自身には何ができるのか、私も何らかの形で被災地支援に関わりたいと考えるようになりました。
沖縄県は、毎年、全国知事会を通じて派遣依頼の募集が県庁内であり、宮城県をはじめとして、被災された自治体への職員派遣を継続して行っています。同期や知人など、周りに被災地支援を経験された方が増えてきました。私は県税関係の部署に10年勤務していたこともあり、税関係なら微力ながらできることがあるのではと思い、希望しました。初めての県外生活ということもあり、家族や友人、職場の先輩や同期、同僚、後輩など、たくさんの皆さんから体調面や気候の違いなどを気遣ってもらっています。
- 編集部
復興の進捗(ちょく)状況についての印象はどうですか。
- 大村さん
沖縄県は台風対策として住宅でも鉄筋コンクリートが多く、完成まで時間がかかりますが、こちらは比較的、工期の短い木造や鉄骨造の建物がほとんどです。赴任時にはさら地だった場所に新築の家屋が増えてきて、街並みが変わりつつあります。
新しい道路の開通や工事に伴う迂回路など、インターネットの地図やカーナビの情報が追い付いていないことも復興が進んでいるからだと日々感じています。カーナビ通りに運転し、三陸自動車道の無料区間を途中で降りてしまったことも多々あります。
昨年7月の西日本豪雨や9月の北海道胆振(いぶり)東部地震の際に、宮城県は被災地への初期対応に尽力されており、とても頼もしいと思いました。
- 編集部
宮城での生活はいかがですか?
- 大村さん
職場から約3kmの職員寮に入居し、こちらで購入した中古車で通勤しています。休日はドライブ(BGMは安室ちゃん)、食べ歩き、パワースポット巡りなど。お米、カツオやメカジキなど、東北ならではのおいしい食べ物がたくさんあります。
宮城は夜明けも日暮れも早く、夏と半袖着用があっという間でした。沖縄では雪が降らないので、雪景色がとても珍しく、寒いけれど寮の窓を何回も開け閉めしては雪を眺めています。車のタイヤ交換はもちろん初めてのことですし、雪用ワイパーの存在には驚きました。
地元への帰省には、気仙沼から仙台、東京を経由し、那覇空港まで約半日がかりです。宮城と沖縄の寒暖差が大きく、帰省のたびに宮城から着ていく服にビックリされます。
- 編集部
派遣元の自治体である沖縄県の紹介をお願いします。
- 大村さん
青い海、年中温暖な亜熱帯気候、独特の琉球文化と歴史・・・沖縄では、たくさんの「ぬちぐすい(命の薬)=こころやからだの栄養」を感じることができます。もちろんパワースポットもたくさんあります。
沖縄のお薦めスポットを掲載したサイトがあるのでご紹介しますね。
※→いのちにちからをくれる島。(外部サイトへリンク)
- 編集部
最後に、今後の目標を教えてください。
- 大村さん
任期まであと3カ月。体調を崩さず、自分のできる範囲で今できる限りのことを精一杯やりたいです。それから、近い将来、三陸自動車道が仙台から気仙沼まで全てつながったら、必ず運転したいです。
本日は貴重な機会を設けていただき、ありがとうございました。
いっぺー にふぇーでーびる!(本当にありがとうございました!)
編集部から一言
落ち着きのある笑顔から始った大村さんのインタビューでしたが、進むにつれて、復興応援職員に自ら志願してきたという使命感ややる気が伝わってきました。
復旧・復興事業というと、道路や防潮堤のインフラ整備がまず思い浮かびますが、住宅や事業所再建の家屋評価も復旧・復興を支える重要な仕事であり、応援職員の皆さんには、幅広い分野で復旧・復興事業を担っていただいていると改めて実感しました。
気候や風土も違い、知り合いもいないところに来て、戸惑いもあったことと思います。宮城の冬、雪を眺めながら、体調に気を付けて残り3カ月を過ごしてほしいと思います。