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このコーナーは、「県ではこんな仕事をしているんだ!」「初めて知った!」と
読者の皆さんが感じるような、県の取り組みを紹介します。
名取市美田園にある「まなウェルみやぎ」は、教育・保健福祉分野のさまざまな課題に対応し、県民サービスの向上を図るため、「総合教育センター」「美田園高等学校」「子ども総合センター」「中央児童相談所」および「リハビリテーション支援センター」を一カ所に整備し、平成25年4月から利用を開始した教育・福祉複合施設です。
国道4号や仙台東部道路名取インターチェンジから近く、仙台空港アクセス鉄道美田園駅のそばという好立地にあります。
今回はその施設の中にある「リハビリテーション支援センター」をご紹介します。
技術副参事兼技術次長で保健師の小杉清香さんと、リハビリテーション支援班の技術次長で理学療法士の村上澄恵さんに話を伺いました。
Q
リハビリテーション支援センターの概要を教えてください。
A
当センターは、障害のある方を支援する専門機関です。「障害者更生相談所」(身体障害者更生相談所と知的障害者更生相談所が平成13年に統合)が平成15年4月に仙台市若林区南小泉の拓杏園(たっきょうえん)(肢体不自由者更生援護施設)に移転し(※拓杏園は平成18年1月に入居機能を廃止)、平成18年4月に「リハビリテーション支援センター」と名称を変更して開設しました。
平成25年3月に名取市美田園の「まなウェルみやぎ」へ移転し4月から業務を開始しています。
職員は総勢43人で、障害者更生相談機能、障害者専門クリニック機能、地域リハビリテーション支援機能を3本柱として備え、さらにもう一つの機能として、宮城県高次脳機能障害者支援事業の拠点施設としての役割も担っています。
身体障害支援班、知的障害支援班、クリニック班、リハビリテーション支援班、総務企画班の5つの班に分かれておりそれぞれに、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士という専門職がおり、相互に連携しながら業務を行っています。
障害のある方や高齢者の方のさまざまなニーズを捉え、住み慣れた地域で、その人らしく質の高い生活ができるよう、リハビリテーションの視点から自立を支援していくことを基本理念としています。
Q
それぞれの班の主な仕事を簡単に教えてください。
A
総務企画班が、総合的な窓口業務を担い、身体障害者支援班は、障害者の相談および補装具の交付・修理に係る専門技術的な判定、身体障害者手帳の交付、自立支援医療(更生医療)の判定などをしています。
知的障害支援班は、障害の程度判定や療育手帳の交付などです。
クリニック班は、附属診療所における外来利用者の診療、理学療法・作業療法・言語療法。それと障害者検診を行っています。
リハビリテーション支援班は地域リハビリテーションに係る専門技術的な相談支援を行っています。
Q
現在、力を入れていることはありますか?
A
クリニック班で行っている障害者検診を広く呼び掛けています。
検診を受けることで、現状より障害が重くならないような予防にもつながります。障害のある部分を使わないことで、あるいは過剰に使いすぎることで関節が固まってしまうなどの、二次障害を起こしてしまうケースがあるからです。
対象者は県内で在宅生活をしている方、身体障害者手帳を所持している18歳以上の方、当センターおよび他の病院・施設で継続的なリハビリを受けていない方、そのほか当センターの医師が必要と認めた方です。
障害者検診は、平成25年より実施し、毎年5月から12月までの計16回、予約制・先着順で受け付けし、今年度は試行的に地域巡回も行っています。
詳細や申し込みは電話(022-784-3592)でご確認ください。
Q
村上さんが所属するリハビリテーション支援班はどのようなことをしていますか?
A
地域リハビリテーションの支援機関として、リハビリテーションに関する調査・研究、専門職員に対する研修、保健福祉事務所や市町村が行っている事業への支援、コミュニケーションに係る相談に応じています。
また、けがや病気により、脳に損傷を負った高次脳機能障害の方の相談に応じるほか、支援者に対する支援や研修などを行っています。
Q
他にどのようなことをしていますか?
A
障害のある方・高齢の方とそのご家族に、より質の高い生活ができるようなアドバイスを県民向けにマニュアル等を作成し、ホームページで情報発信しています。
たとえば、障害のある方向けに自動車運転の総合ガイドブックを作成し、身体が不自由でも、自分で運転したいと思っている方や、自分の障害に合った改造車はどのようなものなのかなどをお知らせしているほか、当センター1階に改造車を展示していますので実際に見ていただくことができます。
また積極的に外出してもらえるように「旅行サポートブックみやぎ」を作成していますので、旅行や外出のきっかけ、旅を楽しむヒントになればと思います。
ほかに、コミュニケーション支援の一環で、さまざまな電子機器のツール、意思伝達装置を展示し、障害の程度に合わせた相談を行っています。意思伝達装置とは話すこと、筆談等が困難な方が、わずかな体の動きを使ってスイッチ等を操作し、意思を伝えることができる機器です。
Q
これまでやってきた中で心に残るエピソードはありますか?
A
コミュニケーション支援に関わった職員のエピソードです。
難病で寝たきりだった高齢の方に、意思伝達装置を試してみることになりました。元々パソコン自体使用したことがない方だったので、初めは家族の方も、地域の支援者も、職員も、「できるだろうか?」と不安でした。
しかし、徐々に使いこなせるようになり、最終的にはそれを使って以前からの趣味である俳句を作れるまでになりました。本人も天井を見つめるだけの生活から抜けだし、生きがいが生まれ、また、家族も大変喜んでくれました。
障害のある方にとって、受け身的な立場から自分から発信できるような立場に変わることは、生活の質を高め人生を楽しめるようになるのではないかと思います。
そのような報告を聞く私たちもうれしく思いますし、仕事の励みになります。家族が送ってくれた俳句をみて、なんでも諦めないでやってみる、可能性にかけることが大事なんだなぁとしみじみ実感した出来事でした。
今回の取材は、一番身近なことでありながら、健康であれば一番後回しにしてしまいがちな自分の身体に関する話題でもありました。私たちが生きていく上で直面するであろう、考えなければならない奥の深い貴重な取材でした。
日々、専門性の高いことを研究、勉強しながら、一人一人の身体に向き合い寄り添って仕事をしているリハビリテーション支援センターの職員の方々に感謝いたします。
医学や科学の進歩により、リハビリ支援やアドバイスを受け、不自由が少しでも改善され質の高い楽しい生活が送れるのであれば、安心で心強いことだと思います。
病気や障害のことは、どこに相談したらいいのか分からない、迷いや戸惑いもあろうかと思いますが、リハビリ支援センターは何か困ったことがあった時に気軽に相談できる頼もしい存在だと感じました。皆さんも不安なこと、聞いてみたいことなどあったら、まずは電話で問い合わせしてみてください。
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