あれコレ!みやぎ・・・「桜井こけし店」 六代目 櫻井尚道さん
あれコレ!みやぎ・・「桜井こけし店」六代目 櫻井尚道さん
1 あれコレ!みやぎ・・・「桜井こけし店」 六代目 櫻井尚道さん
県内のさまざまなオススメスポットや隠れた情報を「メルマガ・みやぎ」編集部がよりすぐってお届けするあれコレ!みやぎ。今回は鳴子温泉湯元地区の「桜井こけし店」六代目 こけし工人(こうじん) 櫻井尚道さん(30歳)をご紹介します。
櫻井尚道さんは、鳴子こけしの伝統を受け継ぐ桜井こけし店の六代目工人です。
伝統こけしを広く世界に知ってもらうため、伝統技法を残しつつ、パステルカラーや蛍光色で絵付けした新たなこけしを生み出したほか、今年5月にはイタリア・ミラノで「ミラノ伝統こけし展」の開催を計画中です。
- 編集部
鳴子こけしと、桜井こけし店の歴史を教えてください。
- 櫻井さん
こけしの歴史は諸説あるのですが、江戸時代末期ころから、温泉や、湯治場のお土産品として売られるようになった人形玩具が始まりだとされています。
鳴子こけしは、頭部を胴の部分にはめ込む独特の技法が用いられているため、首を回すとキイキイと鳴ることが特徴です。
桜井こけし店は、先祖代々こけしを作り続けてきて、現在、父である櫻井昭寛が五代目、私で六代目です。
- 編集部
櫻井尚道さんご本人の経歴を教えてください。
- 櫻井さん
地元鳴子の小・中学校を卒業後、宮城工業高等専門学校(※現 仙台高等専門学校名取キャンパス)建築学科を卒業し、その後、東京、大阪で、建築関係の仕事に従事しました。
平成26年に地元に戻り、平成27年4月から、本格的に父に弟子入りして現在修行しています。
- 編集部
子どもの頃から、家業を継ぐつもりでしたか?
- 櫻井さん
小さな頃は、祖父から遊び半分でこけし作りを教えてもらう程度でしたが、漠然と「家業を継ぐんだろうなぁ」と思っていました。しかし、鳴子温泉の観光客数が減少する中で、両親は継がせたくないという意見でした。なので私も別の職業に就きました。
しかし、4年前に、地元に戻り、家業を継ぐことを決心しました。
- 編集部
「桜井こけし店」と言えば、パステルカラーや蛍光色のこけしが話題ですが、製作に至った経緯を教えてください。
- 櫻井さん
先代のこけし工人たちが作るこけしは、それぞれに個性豊かで、常に新しい作品へと挑戦をしていました。
地元に戻り、家業を継ぐことを決心してから、今後のこけし業のあり方を模索している中で、海外展開も必要だろうと考えていました。そのような中、みやぎの中小企業マーケティング活動支援事業(みやぎ産業振興機構)を活用して、海外市場への進出を目指し、フランス、イタリアの市場調査を行いました。
市場調査の結果、海外のニーズを取り入れて、パステルカラーのこけし「Hagoromo」、蛍光色が特長の「Kaguya(かぐや)」、服を着ているような「Cozuchi(こずち)」が出来上がりました。海外住宅のインテリアと調和するように考えています。

- 編集部
2017年にパリの国際見本市に出展してから話題になり、ヨーロッパから注文が来るようになっているようですね。
来年5月にはイタリア・ミラノで「伝統こけし展」を開催予定と伺いましたが。
- 櫻井さん
伝統こけしの魅力を世界の人々に伝えるため、ミラノ展示会の準備を進めています。開催費用の一部を「クラウドファンディング」(web上で広く資金提供を呼び掛け)したところ、たくさんの方からご支援をいただきました。
- 編集部
今後の目標を教えてください。
- 櫻井さん
多くの方にこけしの魅力を伝えられればと思います。
鳴子温泉全体の発展のためにやれることがあれば、積極的に協力していきたいと思います。
- 編集部
最後に「メルマガ・みやぎ」の読者に一言お願いします。
- 櫻井さん
ぜひ、鳴子温泉に遊びに来てください。
豊かな自然と、温泉を堪能していただきたいと思います。
編集部から一言
皆さんは、“こけし”に興味がありますか?
昨今は第3次ブームもあり、熱心なファンに支えられているこけしですが、櫻井さんの話を伺い、世界を含めてもっともっとファンが広がってほしいと思います。
「私の家にも昔あったなぁ~」。そんな程度の認識でしたが、実際に櫻井さんのお話を伺いこけしを手にしてみると、こけし工人の思いに、歴史の奥深さ、そしてなんと言ってもこけしの愛らしさに感銘を受けました。
私も自分用に“こけし”を一体買いました。現在、職場のデスクの上にちょこんと立っています。なんといとおしいことでしょう。
寒さが厳しい季節に入ってます。温泉にゆっくり入って、その後こけし店に立ち寄って伝統のこけし文化に触れてみる。この冬の自分へのごほうびにいかがでしょうか?
