平成25年度第1回「“みやぎの復興現場”訪問事業」(仙南広域圏)の概要
(1)有限会社蔵王グリーンファーム(白石市福岡八宮字青木下26(株)カキヤ内)
津波により被災した名取市北釜地区のチンゲンサイ農家5人を取締役として受け入れ,白石市内に大規模パイプハウス団地を建設し,チンゲンサイ栽培等の営農再開を支援している。
パイプハウス164棟が,平成24年度被災地域農業復興総合支援事業(復興交付金)を活用し建設された。
上記以外にも被災農業者の雇用を行っており,新規就農者を受け入れている。

菊地取締役ほか関係者の皆様から御説明いただきました。
主な内容
- 当初は休耕地を借りて栽培をスタートしました。これまでは場所が分散していたため大分労力がかかっていましたが,一カ所にパイプハウスを完成することができました。
- 白石は水も豊富ですし,これからチンゲンサイを白石の特産品に育てていきたいと思っています。
知事のコメント
- 大変な被害を受けた中で,あきらめることなく新たにスタートされたことに敬意を表します。
- 一次産業を大規模化し,民間の力などを借りながら,永続的なそして競争力のあるものにしていかなければならないと思っています。農業は重要な産業ですので,今後も応援していきたいと思います。
(2)旅館源兵衛(蔵王町遠刈田温泉仲町5)
旅館施設は震災で被害を受けたが,二次避難者の受け入れ・被災者無料入浴サービスや被災地応援者の受け入れのため安価による宿泊を行うなど被災者支援に努めた。
また,「仙台真田氏」の歴史を活用したまちおこし事業に取り組んでいる蔵王町の遠刈田を中心に,青根(川崎町),鎌先・小原(白石市)の仙南地方4温泉合同で,真田幸村と片倉小十郎ゆかりの地を訪ねる歴史勉強会を開くなどして統一した新商品の考案に取り組んでいる。
現在開催中の仙台・宮城DCについても全国宣伝販売促進会議や首都圏キャンペーンへの参加,「みやぎ蔵王弁当」の製作に携わっている。

遠刈田・青根・鎌先・小原の各温泉旅館組合の女将の皆さんと意見交換を行いました。
主な内容
- 四つの温泉旅館組合が共同で何かできないかと考え勉強会を重ねています。女将たちが一緒になって歴史を勉強していますが,歴史に関心のある方が多いことに驚きました。
- 温泉や食だけではなく,歴史を軸にした誘客をと考えています。
知事のコメント
- 歴史を軸に取り組まれているということですが,これまでとは違う新たな客層を開拓できるのではないかと思います。
- これからは関西以西そして海外のお客様をいかにして呼び込むかが重要です。そのため仙台空港民営化やLCCの就航などに全力で取り組んでいます。
- 観光は訪れる皆さんが楽しみながらできる被災地支援ですから,宮城の観光はまだまだ伸びしろがあるものと思っています。
(3)株式会社コイワイ宮城工場(大河原町金ケ瀬字川根69-1)
砂型による試作鋳物の製造,金型による量産鋳物の製造等を行っている。本社は神奈川県小田原市にあり,本工場は平成16年に開設。震災では,溶解炉等に被害が生じたが,平成23年3月17日には生産を再開した。
3Dプリンタ(三次元電子ビーム積層造形)の国内稼働シェアは75%で国内トップであり,現在東北大学と連携し,金属粉末造形の実用化に向けた実験等を実施するなど,新たな分野に進出している。また,地元高校生を優先し採用しているほか,営業や生産管理等の体制強化を図るため,県内を中心に求人を行うなど,雇用の拡大に取り組んでいる。

小岩井社長から御説明いただきました。
主な内容
- 後継者育成に力を入れており,従業員の平均年齢は23才です。また,2005年以降,県内の高校からの新規採用を続けています。
- 3Dプリンターによる砂型積層鋳造は,これまで1ヶ月程度かかっていた砂型づくりが24時間でできるようになります。
知事のコメント
- この様な最先端の技術により,ここ大河原町でこのような事業が行われていることを知り大変驚きました。
- 富県宮城の実現に向けて第二次産業の発展にも力を入れています。特に自動車関連産業の誘致に力を入れていますが,そのためには鋳物の技術がなければなりません。今後も町と一緒にサポートしていきたいと思います。
(4)八雄館(丸森町字町東69)
福島第一原子力発電所事故により福島県と隣接している県南地域の農産物の風評被害が深刻である中,町の放射性物質の検査により基準値を超えていない安全なものだけを提供するとともに,直売所スタンプラリーやイベントを開催するなど,風評の払拭に積極的に取り組んでいる。

白木理事長をはじめ関係者の皆さんから御説明いただきました。
主な内容
- 震災後は売り上げが落ち込み風評被害の影響は大きいと感じている。様々なイベントの実施,接客マナーの向上やPRに努めて,皆さんの目的地となる場所にしたいと思っています。
- 丸森町は近県のお客様が主なのですが,各地域が復興しないうちはなかなか丸森には来てくれません。一日も早い復興を望んでいます。
知事のコメント
- 内陸部の中で被害が大きかったのは丸森町ではないかと思っています。福島第一原発事故の影響については東京電力に補償してもらうよう全力を挙げています。
- 仙台・宮城デスティネーションキャンペーンの中で,様々な方に足を運んでいただけるよう取り組んでいます。また,観光だけでなく定住人口を増やす様に頑張っています。