平成24年度第2回「“みやぎの復興現場”訪問事業」(仙台広域圏)の概要
(1)理研食品株式会社(多賀城市宮内2丁目5-60)
震災により本社工場が被災したが,社員の雇用確保を最優先に掲げ,いち早く現地再建を打ち出し,平成23年6月には主力商品(ワカメ加工食品)の生産ラインを稼働。原材料の国産ワカメのうち7割を三陸産(宮城県産,岩手県産)で調達している。

三谷社長をはじめ社員の皆さんから御説明いただきました。
主な内容
- 多くの生産者が被災し,三陸ワカメの生産量・価格・品質の安定化が課題です。
- 安全・安心の取り組みとして,自社の放射能検査装置を設置し,原料・製品の検査態勢を確立し,安全性をアピールしている。
知事のコメント
- 三陸産ワカメの生産量を増やせるよう県としても頑張っていきたいと思います。
- 風評被害については,正確なデータを提供し,我々自身が食べ,安全性を積極的にアピールしていくことが必要だと思います。
(2)株式会社笹の浦(塩竈市港町2丁目15-31)
震災により被災したが,直後から避難所として地域住民の受け入れに協力。震災からもいち早く復旧し,平成23年6月1日には営業再開を果たしている。創業から70年を経過し,伝統的な製法により蒲鉾を提供しているほか,工場見学等も実施し,積極的に観光客を受け入れている。

武田社長をはじめ社員の皆さんから御説明いただきました。
主な内容
- 住民の命を救えたことにより,企業としての社会貢献を果たせたのではないかと思う。
- 震災後1年を過ぎ,記憶が風化してきていると感じており,皆さんに震災の体験をお伝えしている。
知事のコメント
- 自身が被害にあわれたにもかかわらず,被災者の皆さんのケアをしていただきましたことに感謝します。
- 頑張っておられる姿を見ると非常にうれしく思いますし,また,頑張る方がおられると後から続く方々が出てこられますので,今後も頑張っていただきたいと思います。
(3)松島海岸レストハウス等視察/四季彩食松島推進協議会・社団法人松島観光協会(会場:ホテル松島大観荘)
松島の海産物や農産物等の素材を活かした四季彩料理コンテストを開催し,入選作品を各観光施設で提供するする「松島・三ツ星ランチ」を展開。震災後,いち早く活動を再開し,同コンテストの開催,「松島・三ツ星冬ランチ」の提供などの取り組みを実施し,観光地松島の復興を強くアピールしている。

佐藤信幸協議会会長,佐藤久一郎協会会長をはじめ関係者の皆さまに御説明いただきました。
主な内容
- 生産者と料理人をつなぐシステムの構築が必要だと考えている。
- これまで三ツ星ランチは冬の時期だったが,来年はデスティネーションキャンペーンなので,通年で四季折々の料理を提供できるようにしたいと考えている。
知事のコメント
- 来年4月からのデスティネーションキャンペーンが大きなチャンスですので,観光客数を震災前の水準に完全に戻したいと思っています。
- 宮城の観光は松島抜きにはありえないと思っています。
(4)七ヶ浜地区生産組合(七ヶ浜町吉田浜字新南谷地内)
七ヶ浜町では,ほとんどの農地が津波により浸水したが,農地復旧工事を進め,作付け可能となった吉田地区の約5ヘクタールの水田を活用し大豆の作付けを開始。25年度は水稲栽培も再開される見込みで,今後,当該生産組合を核とした担い手組織を育成し,七ヶ浜町の農業復興を進める。

佐藤組合長から御説明いただきました。
主な内容
- 作付けした大豆は,台風や低気圧による大雨があったものの,ここまでは順調に生育している。
- 現在,町では施設の復旧や除塩作業が進んでおり,平成25年からの水稲作付けの見通しが持てる状況となってきた。
- 震災前の姿に戻すだけでなく,これからの地域農業のあるべき姿を求めて進まなければならないと思っている。
知事のコメント
- 皆さんと力を合わせて,集約化・効率化を図っていかなければならないと思っています。
- 農業などの一次産業従事者は,県全体の雇用のうち6%を占めており,我々も最大限のサポートをしていきたいと思います。
(5)社会福祉法人はらから福祉会みお七ヶ浜(七ヶ浜町遠山5丁目6-40)
震災以前から七ヶ浜の地元産大豆を使用した豆腐,トマトを使用した豆腐やラーメンなどを開発・販売。震災後は早期に避難所の住民へ総菜を無償提供したほか,買い物に困る町民に販売。七ヶ浜町の新たな魅力の発信を目指している。

武田理事長から御説明いただきました。
主な内容
- 障がいが重かったとしても働いた分の賃金を保証すると約束した。平成25年度は時給700円をクリアすることを目指している。
- 売上げを2年で倍増したいと考えているが,一方,地域の一次産業といかに結びつくかが求められていると思っている。
知事のコメント
売上げの増加のためには,一般の消費者が何を求めているか,そして,いかにして需要を喚起していくかが大事なことだと思います。