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前谷地ふるさと保全会は,石巻市前谷地地区の地域資源を保全し,より豊かにするために多面的機能支払交付金を活用して農村環境保全活動に取り組んでおり,活動の一環として地域の小学校と連携した啓発活動を展開しています。
ここでは,平成29年度に実施された活動について紹介します。
平成29年7月12日,前谷地小学校と前谷地ふるさと保全会は,5年生25名を対象に農業水利施設見学会を実施しました。
この見学会は,児童のみなさんに,農業生産基盤を支える農業水利施設のはたらきや重要性を学習してもらうことを目的としています。また,保全会や土地改良区職員の方々との交流を通して,農業への親しみや興味を深める機会にもなっています。
始めに前谷地ふるさと保全会の斎藤清幸会長のあいさつがあり,続いて,昇降口で簡単な出前講座を行いました。
河南矢本土地改良区から「農業水利施設が持つ役割について」と題した講座があり,前谷地地区の水田は旧北上川の水を利用していることや,田の水量を調節するしくみについて説明がありました。続いて,東部地方振興事務所農村整備部から,水田は稲が生育するだけでなく,生き物のすみかになったり,洪水を防いだりするなどの多面的機能を持っていることを説明しました。
河南矢本土地改良区から説明を受けながら,和渕揚水機場と笈入排水機場を見学しました。
和渕揚水機場は,旧北上川から汲み上げた水を前谷地地区の水田に運んでいます。
建造年は昭和51年で,口径900ミリメートルの立軸ポンプが4台設置されています。揚水量は毎秒約6.9立方メートルで,小学校の25メートルプールを2分弱で満杯にできるそうです。
右の写真は,和渕揚水機場の中を見学する様子です。
笈入排水機場は,前谷地地区の揚水と排水を担っています。
機場内には,口径1000ミリメートルの横軸ポンプと口径1350ミリメートルの横軸ポンプが2つずつ設置されています。また,この機場は揚排水兼用であり,排水量は毎秒約14立方メートル,揚水量は毎秒約2.3立方メートルです。
また,屋外では,除塵機が機場に流れ込む水からごみを取り除く様子を見学し,土地改良区職員から「水路や川にごみを捨てないでほしい」との話がありました。
右の写真は,除塵機を見学する様子です。
最後に,小学校の近くの田んぼに移動し,水質調査と生きもの調査を行ないました。
児童たちは,簡単な検査キットを使用して田んぼの水質を調べました。調査したのは,水の汚れ具合を数値で表すCODと,液体が酸性かアルカリ性かを調べるpHです。どちらも,薬品が入ったプラスチックのチューブに水路の水を入れ,その水溶液の色の変化で水質を確認します。
調査の結果,水路中の水は稲を育てるのに十分な水質であることが確認できました。
水質調査の後,児童たちはバケツと網を手に,水路内に生息する生きものの採捕,観察を始めました。
カエルやアメンボなど普段の生活でも目にする生きものの他,ドジョウやメダカ,タモロコなど,水中に生息する生きものも見つかりました。
帰校後,児童たちからは,「農業水利施設は普段入ることができないので,普段できない体験ができた。」「生きもの調査では,今まで見たことのなかった生き物を見つけることができた。」との感想発表がありました。
児童たちはこの1日で,積極的に質問をしたり,初めて見る生き物を捕まえ観察したりと,新しいことをたくさん体験したようです。
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