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農業や農村は,食料を供給する役割だけでなく,その生産活動を通じ,国土の保全,水源の涵養,生物多様性の保全,良好な景観の形成,文化の継承など,様々な役割を有しており,その役割による効果は,地域住民を始め国民全体が享受しています。このような農業や農村の持つ多面的機能の維持及び発揮をはかるため,「日本型直接支払制度」が平成27年度に法制化されました。この制度の中の1つに「多面的機能支払交付金事業」が位置づけられています。
多面的機能支払交付金事業は,農業や農村が持つ多面的機能の維持及び発揮につながる地域の活動を支援するものです。活動の例として,水路や農道などの地域資源を安全に保つこと,そうした資源の質を向上させること,農村環境を保全することなどがあります。
「須江ふるさと保全会広域協定」は,石巻市須江地区でこうした活動に取り組む組織であり,多面的機能支払交付金事業を通じ,関係機関が一体となってこの組織を支援しています。
平成28年9月2日,須江小学校と「須江ふるさと保全会広域協定」は,5年生35名を対象に農業水利施設見学会を実施しました。
見学会の目的は,農業生産基盤を支える農業水利施設の重要性や,農業用水が持つ多面的機能というはたらきを,児童のみなさんに認識してもらうことです。また,児童のみなさんが,地元の農業者や土地改良区の方々と交流することで,農業に興味を持ち,理解を深めることができる場でもあります。
農業水利施設見学会での学習効果を高めるため,校内で出前講座を行いました。
まず,河南矢本土地改良区から,農業水利施設が持つ役割について説明がありました。
須江地区の水田は旧北上川の水を利用しているとのお話があり,田の水量を調節する機具である揚水機や排水機のしくみについて説明がありました。
次に,東部地方振興事務所農業農村整備部から,農業用水や農業という営みそのものが有する多面的機能について授業を行いました。
出前講座の後,中山揚水機場,ほ場整備地区(谷地中9工区)のほ場(田んぼ),曽波神(そばのかみ)排水機場を見学しました。
最初に,須江地区の田へ水を運んでいる中山揚水機場の見学を行いました。
揚水機場の中には,4台の揚水機が設置されていました。
これらのポンプを使うと小学校のプールをたった40秒で満杯にできるということや,揚水機の操作は改良区の事務所(用水管理センター)からパソコンで行っていることなどを説明してもらいました。
次に,ほ場整備地区(谷地中9工区)のほ場を見学しました。
見学した谷地中9工区では,ほ場整備について説明がありました。ほ場整備とは,作業の効率性を高めるため今ある田んぼを広く使いやすい形に整形することです。
また,ほ場周りの給水栓やパイプライン(田んぼの水が通る管)などの設備を見てその役割を学びました。
児童たちだけでなく小学校の先生方も,そのしくみに驚きの声を上げていました。
最後に,須江地区の排水を担う曽波神排水機場の見学を行いました。
はじめに,排水機場に設置されている2台の排水機を見学しました。
児童たちから挙げられた「機械の購入や管理にはいくらかかるの?」「お金は誰が負担しているの?」という疑問には,地元の方や土地改良区職員の方が丁寧に答えていました。
児童たちは,それぞれの興味に基づいて,訪れた場所の細部まで観察をしていました。
見学後,児童は「(田んぼや農業水利施設の仕組みなど)いろいろなことが分かり,勉強になった」「川にごみを捨てないようにしたい」と感想を発表してくれました。
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