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農業や農村は,食料を供給する役割だけでなく,その生産活動を通じ,国土の保全,水源の涵養,生物多様性の保全,良好な景観の形成,文化の継承など,様々な役割を有しており,その役割による効果は,地域住民を始め国民全体が享受しています。このような農業や農村の持つ多面的機能の維持及び発揮をはかるため,「日本型直接支払制度」が平成27年度に法制化されました。この制度の中の1つに「多面的機能支払交付金事業」が位置づけられています。
多面的機能支払交付金事業は,農業や農村が持つ多面的機能の維持及び発揮につながる地域の活動を支援するものです。活動の例として,水路や農道などの地域資源を安全に保つこと,そうした資源の質を向上させること,農村環境を保全することなどがあります。
「北村ふるさと保全会広域協定」は,石巻市北村地区でこうした活動に取り組む組織であり,多面的機能支払交付金事業を通じ,関係機関が一体となってこの組織を支援しています。
平成28年9月9日,北村小学校と「北村ふるさと保全会広域協定」は,5年生15名を対象に生きもの調査を実施しました。
生きもの調査の目的は,環境及び生態系保全の重要性や,農業や農村が持つ多面的機能というはたらきを,児童のみなさんに認識してもらうことです。また,児童のみなさんが,地元の農業者や土地改良区の方々と交流することで,農業に興味を持ってもらい,理解を深めることができる場でもあります。
はじめに,校内で出前講座を行いました。
北村ふるさと保全会の方から,「田んぼの昔と今」と題した出前講座をしていただきました。
「代掻き」「田植え」「稲刈り」の各段階において,手作業で行っていた昔の農業と機械化された今の農業を比較しながら,農業のスタイルの変遷について説明がありました。
また,かつて小規模な田んぼがたくさんあった場所は,現在,使いやすいよう大きな田んぼとして整形されている(ほ場整備)ことや,水路が整備されたことで田んぼから水が溢れなくなったというお話もありました。
続いて,河南矢本土地改良区から,農業水利施設が持つ役割について授業を行いました。
北村地区の水田は旧北上川の水を利用しているとのお話があり,田の水量を調節する機具である揚水機や排水機のしくみについて説明がありました。
また,東部地方振興事務所農業農村整備部から,農業用水や農業という営みそのものが有する多面的機能について授業を行いました。
台風の影響により,予定していた水路での調査は実施できませんでしたが,北村ふるさと保全会のみなさんが当日の朝に田んぼ周りの水や生きものを準備し,教室内で調査を行いました。
水質調査では,「COD(水の汚れに関する数値)」と「pH(水の酸やアルカリの度合いを数値で表したもの)」の2項目を調査しました。
河南矢本土地改良区から説明を受けた後,簡単な調査キットを用いて,児童たちがそれぞれ実験を行いました。
調査の結果,CODとpHがともに稲を育てるのに十分な水質であることを確認しました。
調査の目的や注意点をよく聞いて,児童たちは生きものの観察を行いました。保全会の方が用意してくださった水槽には,魚類をはじめ様々な生きものがおり,児童たちははしゃぎながら生きものに触れたり,観察したりしていました。
調査の結果,オタマジャクシ(カエル),アメリカザリガニ,スジエビ,ドジョウ,タナゴ,アブラハヤ,フナが確認できました。
ザリガニ
オタマジャクシ(カエル)
タナゴ,アブラハヤ,スジエビ
終了後,児童たちは「揚水機や排水機のしくみが分かった。」「田んぼは土砂崩れを防ぐことがわかった。」と感想を発表してくれました。
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