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今年も5月に入り田植えの時期を迎え、5月24日,前谷地小学校の裏にある約3畝ほどの田んぼで前谷地小学校5年生19名による田植えが行われました。
まずはじめに、毎年お世話になっている地元農業者の只野さんから田植えの手順や注意点が説明されました。
苗を植える場所を決める道具である田植え定規について、転がす際に下向きに力を加えると埋まってしまうので玉転がしのように前向きに転がすことや、真っ直ぐに進めるために両端に加える力を均等にすること。
田植えについて、田植え定規でつけた十字線の交差するところに植えることや、稲は生長すると分けつする(茎が増える)ので一箇所に植える苗は2~3本でよいこと、浅く植えると水に流されたり浮いたりしてしまうので、しっかり植えることなどの説明がありました。
説明後、田んぼに入り田植え定規による作業を開始しました。
前々日に行った代かきの際にも田んぼに入っているはずなのですが、代かき後の泥の感触はまた違ったものがあるようで、田んぼに入った児童たちは大はしゃぎでした。
二人で転がす田植え定規は、初めこそ苦戦していましたが後半は真っ直ぐに転がせる様になっていました。
田植え定規による作業が終わると、いよいよ田植えが始まりました。
田植えを初めて経験する児童がほとんどで、たどたどしい手つきで始まった田植えでしたが、時間が進むにつれどんどんスムーズに苗を植えられるようになっていました。
手に持った苗が無くなった際はすぐに補充する積極性も見せ、楽しそうに作業をしていました。
植えられた苗はみやこがね(もち米),ササニシキ,ひとめぼれの三種類で、それぞれの違いが分かるように少しずつ離れた場所に植えました。収穫した後で餅を作るため、もち米を一番多く植えました。
田植えが終わり、最後に田んぼに水を張って作業終了となりました。田植え定規を使った昔ながらの田植えを体験することで当時の人の知恵と工夫を知り、手で行う農作業の大変さを実感できたようです。今後は,「田んぼの学校」として、生きもの調査や土地改良施設の見学、田んぼの授業などを実施する予定です。
7月16日,前谷地小学校近くにある田んぼで,生きもの調査・水質調査が行われました。
生きもの調査・水質調査は,田んぼにいる生きものを調べたり,地元のお米がどのような水で作られているのかを知ることで地域の農業に関心を持ってもらうことを目的としています。今年は前谷地ふるさと保全会、河南矢本土地改良区、石巻市河南総合支所のみなさんと協力して実施しました。場所は昨年と同じ,前谷地字筒頭内の田んぼで行われました。
この田んぼには前谷地ふるさと保全会で設置した水田魚道があり,生きものが住みやすい環境になっています。
始めに生きもの調査を行いました。
田んぼの生きものが記載された下敷きを配布し,生きものの扱い方について説明しました。
説明終了後,さっそく生きもの調査が始まりました。児童は網を持って元気に動き回り,水路の端から端まで生きものを探していました。
生きもの採取後、観察、同定を行いました。採取した生きものは次のとおりです。
種類 | 生きものの名前 | ||
---|---|---|---|
魚類 | タモロコ,モツゴ,ドジョウ,カラドジョウ,アブラハヤ | ||
水生昆虫 | マツモムシ,アメンボ | ||
カエル | ニホンアマガエル,ニホンアカガエル,ヤマアカガエル | ||
その他 | アメリカザリガニ |
黄色いアマガエルがいました。
生きもの調査の後,水質調査を行いました。検査項目はCOD,pHの二つです。
CODは,水中に含まれる汚れを大まかに数値化したもので,CODの数値が高いほど水中に酸素を消費する物質が多くなります。つまり,CODの数値が高いと水中の酸素が少なくなり魚が住めなくなります。pHは,酸性~アルカリ性の程度を表すものです。pHの値が7程度で中性,7より値が高くなるとアルカリ性,7より低くなると酸性の性質が強くなります。
水質調査は,田んぼに隣接した水路の水で行いました。調査の結果,CODは概ね7~8,pHは7~7.5程度でした。CODの数値は源流の北上川と同程度,pHは中性で,どちらも稲を育てるには十分な水質であるとのことでした。
水質調査後、代表の児童から感想を頂きました。
「たくさん生きものがとれて良かった。」「田んぼにたくさん生きものがいて驚いた」といった感想がきかれ、帰り際にも水路をのぞき込んで生きものを探す児童がいたりと,非常に楽しんで調査をしていたようでした。
感想発表後、前谷地ふるさと保全会副会長さんからあいさつを頂きました。最後に、調査した水路周辺で記念撮影を行い終了しました。
前谷地ふるさと保全会,河南矢本土地改良区,河南総合支所のみなさんと協力し農業水利施設見学会を実施しました。水稲を育てるために必要な水はどうやって田んぼに来るのか,どのような人が施設管理に関わっているのか等について,出前講座や施設見学を通じて学習し,児童の皆さんに農業生産基盤を支える農業水利施設の重要性を認識していただき,地域農業への関心を深めてもらうことを目的として実施されたものです。今年で8回目の開催となりました。
出前講座はパワーポイントを使用して行いました。
最初に,前谷地ふるさと保全会長より,昔と今の農作業の違いについて説明を頂きました。昔は手作業,又は牛や馬を使って農作業を行っていたが,今は機械を使って農作業を行っているとのお話があり,東部地方振興事務所からも,昔と今の田んぼの違いや田んぼと水の関係や前谷地地区周辺の田んぼの水の流れ,農業水利施設の持つ役割,土地改良区の役割について説明を行いました。
一生懸命にメモを取るなど、児童たちが集中して授業に臨んでいる様子が伺えました。
出前講座で学習した,田んぼに水を供給するのに必要な農業水利施設の見学を行いました。見学したのは,前谷地小学校で田植えを行った水田へと水を運んでいる和渕揚水機場,前谷地揚水機場,水田からの排水を行う笈入(おいれ)揚水機場,これらの施設をコンピュータで制御する集中管理センターです。見学中は河南矢本土地改良区職員より説明を頂きました。
最初に,和渕揚水機場の見学を行いました。
和渕揚水機場ではまず旧北上川からの取水口を見学しました。前日の雨もあり、残念ながら取水は行われていませんでした。震災の影響で地盤が沈下し、取水に影響が出ているとの説明がありました。
機場の外で管理している人や取水の許可を取る必要があるなどの説明の後、機場内部でポンプを見学しました。羽根の回転によって水を引き上げる仕組みの説明や、維持管理にかかる費用は賦課金という形で集められていることのお話がありました。
次に、笈入揚水機場を見学しました。
機場内部にはポンプが4台設置されており、うち2台の揚排兼用のポンプが排水のために運転中でした。
取水口ではスクリーンに引っかかった草やゴミを上げる作業が行われていました。その手前にある除塵機のゴミと合わせ、年間にゴミの処理で200万円ほどの費用がかかっているとの説明がありました。
笈入揚水機場の見学の後,すぐ隣にある河南矢本土地改良区事務所内,集中管理センターに移動しました。
集中管理センターでは,コンピュータを使用して,河南矢本土地改良区管内にある揚排水機場を遠隔で操作できるとの説明があり,実際に操作を行うパソコンを見学しました。
また,誤操作を防ぐため,コンピュータから操作命令を出した後,センター内にある操作盤を使用してもう一度操作命令を行う二段式になっているとの説明がありました。
最後,前谷地揚水機場の筒分水工を見学しました。
取水が行われていないため、機場の見学は外側からのものだけとなってしまいましたが,三方分水を行う円筒分水工を見学しました。
円筒分水工では,前谷地揚水機場でくみ上げた水を3つの地区に分配していることや,昔,水争いがあり,解決するために三方分水の仕組みを導入した歴史などを学びました。
三方の水路の内一つが隧道となっており,山を通り抜ける水路に児童のみなさんは興味を示していました。
説明後,分水工にて記念撮影を行いました。
土地改良施設見学の終了後,感想発表をして頂きました。「初めて見たポンプはとてもおもしろい仕組みだと思った。」「水路に水を流す仕組みが分かってよかった。」など,田んぼと水,土地改良施設について理解を深めることが出来たようです。
10月30日,実りの秋を迎えた前谷地小学校で,5月に田植えを行った田んぼでの稲刈りが行われました。
まず始めに,手作業での稲刈りということで,地元農家の只野さんから稲刈り鎌の使い方や注意点の説明がありました。
稲刈り鎌は刃がぎざぎざとしていて植物を切るのに適しているが,ぎざぎざしている分怪我したときに血が止まりにくい傷になるため注意して扱うこと,集中して稲を刈っていると他の人が近づいてきたことに気付かず,怪我をさせてしまうかも知れないので周りに注意することなど,安全についての説明の後,稲を刈るときは根本近くを刈ることや刈った稲は10株を目安にして一つにまとめることなどの作業について,実演を交えた説明がありました。
只野さんの説明が終わると,稲刈りが始まりました。
田植えの際にもち米,ササニシキ,ひとめぼれを分けて植えたので,刈るときに混ざらないように品種ごとに稲刈りを行い,もち米から刈り取りを始めました。
児童たちは初めこそ恐る恐るといった手つきでしたが,次第に慣れたようで、手際よく刈り取りを行っていました。
もち米の刈り取りが終わると,刈った稲を干すため,棒がけ(杭にかけて天日干しにする)の準備が始まりました。
前谷地小学校の営農体験を応援している楯石さんによって田んぼに杭が立てられる中,稲刈りの手を止め,棒の様子をまじまじと見ている児童もいました。
棒がけの準備が整い,いよいよ棒がけが始まると,児童は棒の周りに刈った稲を運び,只野さんや楯石さんの説明を受けながら棒がけを行っていました。もち米の棒がけが終わると,続いてササニシキとひとめぼれの稲刈り,棒がけを行いました。作業を行う児童は,とても楽しそうでした。
稲を全て刈り終えた後,落ち穂をきちんと拾って棒がけし,作業の終了となりました。手作業での営農体験は貴重な体験であり,農作業の大変さや,収穫の喜びを実感できたようです。棒がけされた稲はおよそ2週間ほど乾燥させ,その後脱穀するとのことでした。
11月18日,前谷地小学校で,田んぼで棒がけ(杭に干して天日干しにする)し乾燥させていた稲の脱穀(稲から籾だけを取り出す)が行われました。
脱穀技術の進歩を体感するため,千歯扱き(人力)と足踏み脱穀機(人力),ハーベスター(機械動力)を使用しての脱穀作業となりました。
始めに地元農家の只野さんと楯石さんから,千歯扱きは引っかかったと感じたら無理をせずに本数を減らしてから引っ張ることや足で押さえると引っ張りやすいこと,足踏み脱穀機は,手と足で別の作業を行うので片方だけに気を取られないようにとの説明がありました。
その後,児童たちは2班に別れ,それぞれ千歯扱き,足踏み脱穀機で作業し,ある程度作業したところで交代しました。
千歯扱きについての説明
足踏み脱穀機についての説明
それぞれの作業を体験した後,ハーベスターを使用しました。
只野さんから,ハーベスターの原理は足踏み脱穀機と同じであり,動力が機械になったものとの説明があった後,実際にハーベスターを使用し,残る稲を全て脱穀しました。
あっという間に脱穀していくハーベスターを見て,児童たちは非常に驚いていました。
脱穀を終え,わらを回収したところで作業は終了しました。昔の農作業の大変さや,作業を短縮するための工夫で農作業は大きく変化してきたことが体験できたようでした。今後は籾すり(玄米と籾がらに分ける)・精米の行程を見学し,米が出来るまでの流れを勉強する予定です。
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